当時、右手の人差し指をまっすぐに伸ばすことがまだできた。しかし人工透析導入後、…
カテゴリー: ショートショート
「色とりどり」江坂遊
思った以上に盛り上がった結婚披露宴が終わり、ようやく最後の招待客をタクシーに乗…
「猫山」川島怜子
登山家のあいだで、ひそかに伝えられている、難攻不落の山がある。成功した者は誰も…
「こん、こん、こんこん」飯野文彦
「甲府物語」を読んだという方から、葉書をいただいた。その中にあった一文――。〈途…
「名医」井上史
僕の勤務先の病院には『ドラキュラ先生』と呼ばれる医師がいる。 ドラキュラ先生、…
「思い出を振り返ることなかれ」青木和
抜けるような青空だった。地面に落ちる影の色が濃い。 土手の上に真っ直ぐな道が続…
「忘れ物ベイビーズ」イーライ・K・P・ウィリアム
「忘れ物を受け取りに来ました」 西中野駅の忘れ物取扱所で、カウンターの向こうに立…
「Jの悲劇」市川大賀
Jの悲劇 市川大賀 少し今日は遅刻気味だな。そう思った僕は、日々変わらぬ駅への…
「空に舞う」粕谷知世
他でもない、ほこりの話です。 ほこりって、誇りのことじゃありませんよ。漢字で土…
「0」白川小六
『152』 白い壁に設置された画面に、デカデカと数字が表示される。「ヒャク ゴジ…
「呼び鈴」深田亨
その家の玄関ドアの横には、インターホンのボタンと、少し低い位置に古めかしい呼び…
「よだかの息子の僕が鷹の改名要求を呑まざるを得なかった件」尾車れふ
「よだかの息子の僕が鷹の改名要求を呑まざるを得なかった件」尾車れふ (注:この作…
「終末の波が世界を拭えば」片理誠
はい、もしもし、やぁ、久しぶり。急にどうしたの? え? あぁ、それで心配して連…
「優等生」川島怜子
「だから、違うって言ってるでしょう!」 手元のカードが振動した。まただ。 うんざ…
「桜の若葉」飯野文彦
おだやかな昼下がり、舞鶴城公園へ足を向けていた。ほんの一週間ほど前までなら、ぜ…
「透明人間になったらしたいたった一つのこと」青木和
その朝目を覚ますと、俺の左腕が消えていた。 昨夜は確かにあったから、夜の間にそ…
「柘榴石の少女」宮野由梨香
連作:ミネラル・イメージ 柘榴石の少女 …
「木――トルマリンの」大野典宏
連作:ミネラル・イメージ 「木――トルマリンの」大野典宏 ヒトシの夢に何かと出…
「星明かりの森」粕谷知世
一、ふきぬけの空 夏の朝、公園でのラジオ体操を終えて、タカシは家に帰ると…
A Catroid Story Side B ミィにおかえり」伊野隆之
母の猫が死んだ。交通事故だった。高齢になって、滅多に庭から出ることもなく、それ…
「A Catroid story Side A さよならアレス」伊野隆之
田口洋子のところの猫が、また駄目だったようだ。ネットワークを経由したステイタス…
「いきちみっけ」吉澤亮馬
吸血鬼に噛まれるのもぼちぼち慣れたな、と思いながら、スマホをいじっていた。「す…
「最初の筏の最初の人々」アルカジイ&ボリス・ストルガツキー(大野典宏訳)
最初の筏の最初の人々――バイキング アルカジイ&ボリス・ストルガツキイ 大野典宏…
「瑪瑙の記憶」大野典宏
連作:ミネラル・イメージ 瑪瑙の記録 大野典宏 ■ナビゲーター 本日ご覧に入れ…
「蚊帳の外」飯野文彦
目を覚ますと、カーテンの外は暗く、豆球の光が、室内、薄ぼんやりと橙色に沈めてい…
「鳥か葡萄、あるいは炎」片理誠
気がつくとタクシーを降りていた。いったいどうやって下車したのか、まったく覚えて…
「コンビニ」白川小六
誰でも知ってるコンビニチェーンだ。よっぽどの田舎を除けば、日本中どこにでもある…
「メンテおじさんUtopiaに行く」忍澤勉
「今日という今日は、珈琲ぐらい飲んでいってもらうわ」 居酒屋の店先で女主人のバッ…
「なくして初めて分かる事」粕谷知世
書けないのが哀しいのか、もう書かなくていいことにほっとしているのか、それさえ、よ…
「潜入捜査」橋本喬木
「潜入捜査」橋本喬木(たかき) 「面倒をみている情報屋から、いいネタが入ったぞ」…