チェックインしたばかりの客に、コンシェルジュが声を掛けてきた。「ミスター洋一。…
カテゴリー: ショートショート
「リバークラフト」吉澤亮馬
ある時から、従妹のマキ姉は川を身に着けるようになった。 頻繁に会うほど親しくは…
「羽化」染井雪乃
気が進まないものの、楓は実家に顔を出した。空気が冷たいのは冬が近づいているせい…
「シン・中継ステーション」飯野文彦
小学校のとき、私はひとり校庭の隅にある木材を横たえた遊具に坐っていた。すぐ近く…
「黄金の街」粕谷知世
白壁に夕日があたって黄金色に染まっている。 ああ、また、ここに戻ってこれたんだ…
「鳳仙花こわれた」海野久美
私はごく幼い頃から、この世には触れてはいけない物があるのを理解していた。 大…
「終焉」小竹田夏
村外れに住む老いた職人は、家具や小屋など大きさを問わず、木造品の作製と修理を一…
「ordinary contact~よく有る接触」庄司卓
「あの、ちょっとよろしいですか?」 駅前の大手チェーン書店で、毎月購入している…
「代筆猫」川島怜子
平安時代の町。いくつかの店が並んでいる。「代筆を一つお願いします」 貴族の家で…
「違う、妖精じゃない」片理誠
え? 何だってッ! ふと自分の左手に目をやった俺は、そこに信じられないものを見…
「コレカラ紋々」おだっくい
退職して一年後に妻が交通事故に巻き込まれて亡くなった。 ついこの間まで笑いなが…
「百日紅の木」深田亨
夜になっても昼間の暑さが十分残っていた。 坂道をのぼって久しぶりに訪れたレスト…
「スペーストンネル(時空隧道)抜けて」◇第6話◇「宣言書」江坂遊
お邪魔します。こんばんは。 このあたりで今まで起こったことを振り返ってみません…
「スペーストンネル(時空隧道)抜けて」◇第5話◇「嘆願書」江坂遊
お邪魔します。こんばんは。 驚いてばかりです。思わずお月見団子を口から発射してし…
「スペーストンネル(時空隧道)抜けて」◇第4話◇「目論見書」江坂遊
お邪魔します。こんばんは。 もうそろそろお月見団子は飽きられてきた頃かと思いま…
「スペーストンネル(時空隧道)抜けて」◇第3話◇「手配書」江坂遊
お邪魔します。こんばんは。 いつも遅くにお邪魔します。「かまいませんとも」高井…
「スペーストンネル(時空隧道)抜けて」◇第2話◇「意見書」江坂遊
お邪魔します。こんばんは。 研究室同士の連携がこんなにうまくいくとは思ってもみ…
「スペーストンネル(時空隧道)抜けて」◇第1話◇「始末書」江坂遊
お邪魔します。こんばんは。今夜はお月さまがくっきり見えてとても綺麗です。中秋の…
「ロング・スリープ」粕谷知世
湖の底から浮かび上がってくるように、拡散していた意識の焦点が合った。 そうだ、…
「ペルソナ/仮面」飯野文彦
『みっちゃん』 「何、入ってるんですか、これ?」「キュウリだ」「確かにキュウリの…
「転校生」海野久実
うちのクラス、五年三組に転校生が来た。夏休みが終わって、新学期が始まってから三…
「煮干し」白川小六
五時間目は理科。私たち二年三組は今、「生物の体のつくりと働き」の単元を習ってい…
「星」井上史
夜明けの砂浜に、君は横たわっている。ぐったりと脱力して動けない。ああ、これで最…
「ディストピア飯」庄司卓
「よし、A-11023番。検査は終了だ」 反体制活動で捕まった俺は、政府の矯正施…
「藍を捌(さば)く」吉澤亮馬
「藍を捌(さば)く」 ふと私の口からこぼれた言葉は、ある種告白に近かったのかも…
「アイス」川島怜子
「友達、ほしいな……」 大学に入学して一人暮らしを始めた清香(さやか)は、非常に…
「恐怖の夜」深田亨
残業で遅くなって、駅からひとり暮らしのアパートに帰る途中、ふとあとをつけられて…
「ひとつ願いが叶う」江坂 遊
魔女のお婆さんがスープカップをジャクリーヌに手渡しながらこう言った。「ジャッキ…
「書痴の幸福なる死」仁木稔
書痴の幸福なる死 仁木稔 0 ――本に埋もれて…
「体外母性」 吉澤亮馬
目が覚めると、枕元で小魚がぴちぴちと跳ねていた。 私の小指くらいの大きさで半透…