『みっちゃん』 「何、入ってるんですか、これ?」「キュウリだ」「確かにキュウリの…
カテゴリー: ショートショート
「転校生」海野久実
うちのクラス、五年三組に転校生が来た。夏休みが終わって、新学期が始まってから三…
「煮干し」白川小六
五時間目は理科。私たち二年三組は今、「生物の体のつくりと働き」の単元を習ってい…
「星」井上史
夜明けの砂浜に、君は横たわっている。ぐったりと脱力して動けない。ああ、これで最…
「ディストピア飯」庄司卓
「よし、A-11023番。検査は終了だ」 反体制活動で捕まった俺は、政府の矯正施…
「藍を捌(さば)く」吉澤亮馬
「藍を捌(さば)く」 ふと私の口からこぼれた言葉は、ある種告白に近かったのかも…
「アイス」川島怜子
「友達、ほしいな……」 大学に入学して一人暮らしを始めた清香(さやか)は、非常に…
「恐怖の夜」深田亨
残業で遅くなって、駅からひとり暮らしのアパートに帰る途中、ふとあとをつけられて…
「ひとつ願いが叶う」江坂 遊
魔女のお婆さんがスープカップをジャクリーヌに手渡しながらこう言った。「ジャッキ…
「書痴の幸福なる死」仁木稔
書痴の幸福なる死 仁木稔 0 ――本に埋もれて…
「体外母性」 吉澤亮馬
目が覚めると、枕元で小魚がぴちぴちと跳ねていた。 私の小指くらいの大きさで半透…
「イマジペディア」間瀬純子
――《〈イングリッシュ・ヴードゥー〉の世界へようこそ。快感がきみを待っている。知…
「夜更けの散策にて」飯野文彦
訳あって家族と離れ、甲府市内、相生町、古びた二階建てアパートの一階、角部屋、六…
「雨の日のラクダ」粕谷知世
「僕は雨男なんです」と彼は言った。 大学の新歓コンパの帰り道、同じ電車に乗った参…
「アーバンサバイバー」庄司卓
くそ、やられた。スマホを盗まれた。正確に言うとすり替えられた。今回のクライアン…
「レプリカ飛行石盗難事件」大野典宏
連作 ミネラル・イメージ レプリカ飛行石盗難事件 大野典宏 「全く正しいと思いま…
「お話し」白川小六
少年はイヌに向かって一生懸命話す。「その星は遠い宇宙にあって、そこの人たちは、…
「孤独の温度」片理誠
目が覚めたら死んでいた。いや、死んでいるのに「目が覚める」というのは、変か。 …
「雨戸」深田亨
高齢者施設に暮らす百歳になるおばあさんは、昨日のことは忘れてしまうが昔のことは…
「卵少女」飯野文彦
愛宕山みはらし台のベンチに腰を下ろして、眼前に広がる甲府盆地を見ていると、飯野…
「三つのお願い」川島怜子
「あー、なにもしたくない。毎日ダラダラしていたい……」 雄介(ゆうすけ)はアパー…
「甲府の記憶」飯野文彦
[橋] 土手を散歩していると、古びた橋があった。寿町の、荒川に合流するわずかに…
「ジルコニアの正義」大野典宏
連作 ミネラル・イメージ ジルコニアの正義 Ver.π 大野典宏 「しかし、現実…
「授かり淵」おだっくい
「皆、集まったようだな」 と言ったのは北町奉行曲淵景漸(まがりぶち かげつぐ)で…
「終わる、終わる」庄司卓
先天性の遺伝子疾患で長年通院している。もっともこれといった不調がある訳でもない…
「甲府三景」飯野文彦
そうですね。死んでしまった親しい人に対して僕らができるのは、ただ彼らを記憶しつ…
「麦酒の恵み・女神の歌」粕谷知世
ウルメシュは粘土板から顔をあげた。 疲れた眼を休めたいが、彼がいるのは殺風景な…
「羽化した記憶」吉澤亮馬
そのゴミ屋敷の前に来ると、僕のお腹はぎゅっと痛んだ。 こじんまりした木造建築で…
「蛍石のパズル」大野典宏
連作 ミネラル・イメージ 蛍石のパズル 大野典宏 ――人が抱える悩みは、いつの時…
「十進数の森」片理誠
記。 クォード・クルー一等税務官より、シュナス署長へ。 正式な報告書は後日、あ…