「『FT新聞』&『SF Prologue Wave』コラボレーション企画のご紹介 その3」岡和田晃

「『FT新聞』&『SF Prologue Wave』コラボレーション企画のご紹介 その3」岡和田晃

 ゲームブックの専門出版社であるFT書房(https://ftbooks.xyz/)の日刊メールマガジン「FT新聞」(https://ftbooks.xyz/ftshinbun)と、SF Prologue Waveのコラボ企画、着実に支持を広げているようです。今回は第7回~第8回の配信記事をご紹介いたします。
 初出のリンクを辿り、再読の一助としていただけますようお願いします(以下の「はじめに」の文責はすべて岡和田晃です)。

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「FT新聞」&「SF Prologue Wave」コラボレーション企画 Vol.7(「FT新聞」No.3753、2023年5月4日)

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●はじめに

 シェアード・ワールド企画の醍醐味は、複数の著者が参加することによって、世界が徐々に広がりを見せていくことにあります。
 「Utopia」の特徴は、RPG的な自由さと拡張性をあわせもつものでありながらも、寓喩としての奥行きをも見せていくことにあるのではないかと考えています。
 そこでご紹介したいのは、忍澤勉さんの「<情報街>のメンテおじさん」。以前も少し言及したことがあるので、ご記憶の方もいらっしゃるかもしれません。
 忍澤勉さんは、2022年に快著『終わりなきタルコフスキー』(寿郎社)を出版、評論と小説の二刀流で活躍している書き手です。同書は、「キネマ旬報」、「週刊新潮」、「図書新聞」、「SFマガジン」等で取り上げられました。
 忍澤さん、長回しで知られるアンドレイ・タルコフスキーが監督したすべての映画の画面の隅々まで目を凝らし、そこから詩的モチーフの意味を汲み取って鮮やかに整理してみせました。その観察眼と粘り強さは、本作でも遺憾なく発揮されています。
 もちろん、本作は単体でも充分に楽しめます――さあ、あなたの知らない<情報街>を訪ねてみてください。

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オリジナル小説「<情報街>のメンテおじさん」

 忍澤勉

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初出:
「SF Prologue Wave」
https://prologuewave.club/archives/9428

【プロフィール】
忍澤勉(おしざわ・つとむ)
1956年東京生まれ。編集プロダクション、広告制作会社、出版社勤務を経て、著述業。
「SF Prologue Wave」編集部員、日本SF作家クラブ会員。
「『惑星ソラリス』理解のために――『ソラリス』はどう伝わったのか」で第7回日本SF評論賞の選考委員特別賞を受賞。「ものみな憩える」で第2回創元SF短編賞の堀晃賞受賞、『原色の想像力2』(創元SF文庫)に収録。
岡和田晃編『北の想像力』(寿郎社)では「佐々木譲論」を、同『現代北海道文学論』(藤田印刷エクセレントブックス)では「佐藤泰志論」を執筆。
2022年、初の単著『終わりなきタルコフスキー』(寿郎社)を上梓。

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「FT新聞」&「SF Prologue Wave」コラボレーション企画 Vol.8(「FT新聞」No.3795、2023年6月15日)

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●はじめに

 あらゆる芸術は、大なり小なり先行作品なしには成り立ちません。もちろん、ゲームだって例外ではないのです。
 どこまで影響関係を表立って書き込むのかは場合によりけりではありますが、では先行作品へのリスペクトを明示することと、複数の作家が共通の約束事を共有するシェアード・ワールド小説は、何が共通し、どのあたりが異なってくるのでしょうか?
 「FT新聞」No.3753(2023年5月4日配信)では、ネットマガジン「SF Prologue Wave」で展開されているオリジナル・シェアード・ワールド「Utopia」の一環として、忍澤勉「<情報街>のメンテおじさん」を配信しました。
 忍澤さんの確かな筆力は読者の方にも、静かに染みわたったようで、あーるじぇい@owljeyさんからは、「情報街の面々にも、我々同様にたどってきた人生がある。メンテおじさんの述懐を読むうちにいつしか壮大なネットワークが浮かび上がる。セイラのその後も垣間見えるのが、シェアードワールドの面白さ」との感想をいただきました。
 その忍澤さんによる、フレッシュな新作をお届けします。単独の小説としてお読みいただけるのは大前提。しかし本作は、「Utopia」以外にも、複数の有名な作品が下敷きとなっており、イメージの襞を掻き分けてゆく楽しさもあるのです……。

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オリジナル小説「Utopiaの海辺にて」
 忍澤勉

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初出:
「SF Prologue Wave」
https://sfwj.fanbox.cc/posts/6085237