「江坂遊の3or4(10)」江坂遊

「江坂遊の3оr4(スリー・オア・フォー)・絵のない3コマ、4コマ漫画本 10」江坂遊

《3行(句点三つ)また4行(句点四つ)に圧縮したショートショート作品》
◇10◇「絵のない3コマ4コマ本」

『ショートショートの定義』
ショートショートは遊園地。
ダーッと上がる。
クルッと回る。
ストーンと落ちる。

『ショートショートの快楽』
高さ。
速さ。
不意打ち。
目まいで酩酊させて快楽を与えるのがショートショート。

『ショートショートを書いてみよう』
小中学校時代に読書の楽しみをホシさんのショートショートによって知った。
わたしはその恩返しがしたい。
書くことはもとより、多くの人にショートショートを創る楽しみも知ってもらえるようにしたい。
たくさんの喜びの種をまいておきたい。

『江坂道場心得』
私は新鮮なアイデアを求め続けます。
私は話の筋道をちゃんとつけます。
私はアッと言わせることに喜びを見出します。
私はピカッと光る生き方をめざします。

『二足の草鞋と二項対立』
本業がありショートショートも作る。
ロジカルにマジカル。
情と理。
二兎を追うものは二兎を得る。

『こんな感想を言わせたい』
ありえない世界にひろがりがあり、現実を改めて見つめなおすことができました。
嫌な後味が残りませんでした。
桂馬すじのオチで驚かされました。
とても不思議で美しい。

『ぶんぴつか』
「ぶんぴつか」と呼ばれてポカンとした。
わたしはミツバチかい。
しかしよくよく考えると、物語を紡ぐという行為は何かをぶんぶんと分泌しているようではある。
一つの大きな宇宙を生み出しているんだから誇りにして良いだろう。

『ホシさんは』
ペンネームは星新一。
ホシさんの作品は新しさ第一。
本名は星親一。
ホシさんは親切第一。

『これからが楽しみだ』
ホシさんは江坂との別れ際にいつもこういわれた。
「江坂さんのこれからが楽しみだ」
ということはこれまでの作品は楽しめなかったと言われたのと同じこと。
実はわたしも、後輩によく使っている。

『覚え方』
茨城、栃木、群馬、埼玉は頭をとって「いとぐさ」と覚えましょう。
ヒューロン湖、オンタリオ湖、ミシガン湖、エリー湖、スペリオル湖は英字の頭ひと文字からHOMESでいいですね。
ショートショートの定義は、新鮮なアイデア、完全な筋書き、意外なオチの頭をとって「しかい」と覚えましょう。
ショートショートは「視界良好」なり。

江坂 遊(えさか ゆう)
1980年、星新一ショートショートコンテストで「花火」が最優秀作品に選ばれてデビュー。代表作に『花火』『無用の店』(光文社文庫)がある。世界のショートショートの傑作をあつめた『30の神品』『猫の扉』(扶桑社文庫)では選者をつとめた。ショートショート作家を育てる江坂道場を主宰し、各地で創作講座を実施。創作法を開示した著書に『小さな物語のつくり方』『小さな物語のつくり方2』(樹立社)がある。