「SF Prologue Wave編集部メンバー他己紹介」 市川大賀(質問者 柳ヶ瀬舞)

「SF Prologue Wave編集部メンバー他己紹介」 市川大賀(質問者 柳ヶ瀬舞)
 
「SF Prologue Wave って、どんな人たちが作っているの?」という声にお応えし、SF Prologue Wave編集部メンバーに、別のメンバーが質問をしてみました。
 
 
 
 
 
◎市川大賀さんへの質問(柳ヶ瀬舞より)
 
1・SFPWの編集部員に選ばれて・参加しての感想などお聞かせください。
 
僕はライターとしての職歴は長いけれど、SFPWのことは知らなかったわけです。一応SF少年時代があって、『宇宙塵』時代とかを基礎教養に持っているのに、SFWJの中核であるSFPWを知らなかった。その「知らなかった」を恥として刻み込むと同時に、そこに参加するということは、僕のような者にも、もっともっとSFPWという存在を知らしめて「SF文芸誌が絶滅しそうな昨今、web発信でSF文学者になる登竜門はSFPWだ!」という認知に至らしめなければいけないと、深く自覚しています。
 
2・SFPWの大賀さん的見どころ。
 
毎回の更新で、何があるか分からないところ、ですよね。これは「雑誌」の「雑」の部分としては、絶対的に必要な要素であって、決してルーティンになってはいけないんですが、SFPWは、SSあり、ラノベ的連載あり、毎回の評論や書評、ゲーム記事から対談まで、およそ80年代SF黄金期に大手出版社のSF雑誌がやっていたことを、網羅しているというところでしょう。
 
3・大賀さんの小説も公開されています。『折口教裕一郎授の怪異譚』はどこへ行くのでしょうか?
 
あれは、僕が自分で体験してきた「この世の生業」と、社会環境を、民俗学で結び付けて、娯楽に落とし込んだ作品です。僕と僕の環境にいろいろ変化があれば作風も変わっていくでしょうが、この社会が全体主義的な国家主義にとらわれていくのであれば、「表と闇」の隙間に生きてきた者たちの動きや声は大きくなっていくでしょう。僕の作劇は、「それ」をとらえて形にすることです。待望してくださる人がいる限り、続編は出していきます!
 
4・インボイス制度反対に力を入れていますね。大賀さんの視点から見て(文筆・声優業界)、私たちはどのような選択をとることが望ましいと思われますか?
 
消費税や防衛費など、僕が子どもの頃から「この国の為政者のやり方」は変わらないんですよ。まず、最初に暴論的な政策をアナウンスします。拒絶反応の悲鳴が運動となって野党を動かし、野党は与党とブックのプロレスをして、「国民が挙げた拳を下げる数字」にまで、落としどころを見せ札に使います(消費税なら3%でした)。けど、一度タブーが破られれば、その後は段階的に自民党は最初の暴論的数値へ押し切ります。インボイスが今回異なるのは、まず「国が向こう3年、国政選挙がないので、安定多数議席の間に、いくらでも法整備のやりたい放題が出来る」ここが一番問題ですね。インボイスという制度は一切野党の叫びに耳を貸さず「6年間免除期間があるから」だけで国民が「忘れる」のを待つんだと思います。この国は平成になってから、国民は「忘れる」ようになりました。モリカケ、桜、やがては統一教会問題も「忘れ」さられていくでしょう。インボイスもそれを狙うから6年の免除期間があるのです。だからここからようやく回答に移りますと「声を上げ続ける」こと。施行は2023年10月だけれども、そこがゴールではなく、法整備による消費税減税なり、インボイス制度の撤回なりが果たせるまで、声を上げ続け、力を合わせ続ける、これだけだと思っています。
 
5・SFPW以外で注目のひと・もの・作品はありますか?
 
僕は実はオタクじゃないんじゃないかと自覚する時はあります(笑) 今の僕は『SFマガジン』も読まないし、ニチアサの特撮や、深夜アニメもここ20年近く観ていない。その間何をしていたかと言うと、自分の探求の為に、半世紀前の特撮やSFやアニメを、端から端までむさぼっていたんです。でも、「今」をたまに見ていると、SFの世界でも、今回日本SF作家クラブへ推薦くださった、古参の梶尾真治先生や荒巻義雄先生がガンガン新刊を出している。研究テーマの対象である『機動戦士ガンダム』の監督、富野由悠季氏は、僕の研究速度の数十倍の速度で新作を発表し、『Gのレコンギスタ』劇場版は、どんな若い才能よりも、瑞々しいSF作品として輝いていたわけです。温故知新と言いますが、僕は僕を育んでくれた時代と、現代を繋ぐ作品や人を今でも注目しています。
 
6・1日の大まかなスケジュールをお教えください
 
午前中に打ち合わせや取材がなければ、ジャストお昼の12時まで寝てます。アシスタントさんに起こされるか、自然に起きるか、まぁ起床。その後パソコンに向かい、まぁ寝ている間に着信が来ていたメールの返信や、自分のサイトの予約更新日であれば、Twitterで宣伝をします。そのついでにTwitterにハマる日が多いです(笑) 夕方、アシスタントさんが仕事を終えて帰って、そのあと18時のニュースを見てからが本番です。Twitterをやりながら、SFPWで打ち合わせしながら、インタビューの文字起こしをするなんていう綱渡りも日常茶飯事です。アシスタントさんが帰宅したら一人で夕飯を食べて仕事を続行。日付が変わるころからトップスピードになって、執筆は毎日だいたい午前4時頃までやっています。その後少しクールダウンして、朝方5時前後には寝る習慣がついています。不健康この上ありません(笑)
 
7・これだけはお伝えしたいということがありましたら、何でもお書きください。
 
業界では、なんでも、僕の学生時代の人脈まで遡って探偵まで雇って、僕の様々な情報を仕入れて、映画人やライタークラスタへ、市川大賀ネガキャンをしている一団がいるそうなんです。もう「暇ですね」の次元でもない訳で、ある日突然、その連中の積んだコインのせいで、関係を一方的に断たれることもあるわけです。僕は今愚痴を書きたいのではなく、そんな構造に対抗策を練っていたけれども、多勢に無勢でかなうことなどなく、どうするべきかと自問自答をした先に在ったのは「“連中”が、プロの何物にもなれず、ネガキャンが手段から目的になって時間を浪費したまま『顔が広いオタク』で人生を終える間に、僕はとにかく前を向いて進もう。向こうがコインを積むなら、僕は実績を積もうと思って、今を必死に走り抜けるしかないと思っている」ということです。
53歳で初単著刊行、55歳で初小説刊行、日本SF作家クラブ入会というのは、決して早咲きではありません。しかし、生きている限り、積んだ実績は裏切りません。葛飾北斎の例もあります。僕は僕の未来を、まだまだ信じて突き進みます。これからも応援をよろしくお願いいたします。以上です。
 
◎質問を終えて
 
大賀さんは22年9月、私と一緒にSFPWの編集員になりました。実直で優しく、ときおり乙女のような繊細さ面を見せてくださる大賀さん。そんなた大賀さんにぴったりの真実無妄のインタビューができたと自負しております。
SFPWの編集に入ったときは大賀さんも私も小鹿のように震えながら一緒に頑張りましょうと毎日のように電話をしていました。少しずつ編集にも慣れてきて編集同士として率直に意見を交わせるようになっています。
私は大賀さんデビュー小説『折口教裕一郎授の怪異譚』の続編を待ちかねるファンのひとりです。どうぞご健康にお気をつけて、これからも一緒にSF Prologue Waveを盛り上げていきましょう!
 
市川大賀(いちかわたいが)
1966年東京生まれ。学生時代に『月刊バラエティ』『季刊宇宙船』の記事ライティングを経て、20代は映画・ドラマ関連の助監督業へ。1990年代後半からライター仕事を開始。いくつかのペンネームを使い分け、SF作家平井和正氏の下で修業をしつつ、『別冊宝島』『ゲーム批評』等でサブカルライターとして自立。2014年にはニッポン放送主催の声優朗読劇『ニートの神様』『カミサマ未満』で脚本と演出を、2016年には映画『ロリさつ』でプロジェクトコーディネーターを務めた。その後も声優業界とは関係が深く、今もトークイベント『市川大賀Tiger’sLIVE』等のゲストにお呼びしている。
2020年、(株)地域社会研究所『スマホ・SNS時代の多事争論 令和日本のゆくえ』をきっかけに、2022年日本SF作家クラブ入会とほぼ同時に『折口裕一郎の怪異譚 葛城山 紀伊』を上梓。自サイトでは様々な映画監督や声優、映画評論家などへインタビューや対談などを行っている。