月刊アナログゲーム情報書籍「Role & Roll」Vol.191「『エクリプス・フェイズ』シナリオ クリュセの繭」

文:朱鷺田祐介(スザク・ゲームズ)、監修:岡和田晃(『エクリプス・フェイズ』翻訳チーム)、待兼音二郎(『エクリプス・フェイズ』翻訳チーム)

 岡和田晃

 「Role & Roll」(アークライト/新紀元社)は、会話型ロールプレイングゲーム(テーブルトークRPG、TRPG)や、ボードゲーム、カードゲーム等のアナログゲーム(電源を使わないゲーム)を扱う月刊総合情報書籍です(2003年創刊)。
 毎号、プロとして活躍中のゲームデザイナーやライターにより、様々なゲームの紹介やサポートがなされています。「SF Prologue Wave」でも、「Role&Roll」掲載の『エクリプス・フェイズ』関連記事を、継続的に紹介して参りました。
 
 「Role&Roll」にはこれまで、『エクリプス・フェイズ』のルールブックを購入したはいいが、どう遊べばよいかわからない方のために、すぐに遊べる入門用のシナリオが掲載されてきました。いずれも3時間程度の比較的短い時間で遊べる親切設計となっています。
 コロナ・ウイルス禍で、オフラインでのRPGが遊びづらくなっていますが、もともと『エクリプス・フェイズ』はオンラインで遊びやすい設計となっておりますので、いずれのシナリオも容易にオンラインでプレイすることが可能です。
 Vol.143~187掲載のシナリオも、すでにSF Prologue Waveで紹介済みですので、バックナンバーをご確認ください。Vol.179、Vol.188には追加データ・設定やシナリオソースがVol.189は具体的なシナリオ・デザイン指南、Vol.190にはゲームマスター・ガイドが載りました。
 Vol.191には、コロナ禍中、オンラインでも遊びやすいシナリオが掲載されています。

 火星トロヤ群に存在する全寮制の名門女子高校「クリュセ高等女学院」で起こる怪談事件を解決せよ! 潜入を命じられたセンティネルたちが、若き乙女たちの花園で見たものは?

 この記事は『エクリプス・フェイズ』では珍しい、学園を舞台にしたゴースト・ストーリーです。もちろん、魂(エゴ)がデジタルに記録できる時代に幽霊とはおかしな話ですが、そこから一捻りしたセンス・オヴ・ワンダーが提供できる仕掛けとなっています。
 というのも、舞台の名門女子高校は、火星トロヤ群にある山福一族所有のプライベート・ハビタットに建設された名門女子高校なのです!
 「Role&Roll」Vol.103で紹介された「オリガルヒ(支配階級)」や、Vol.107に出てくる「月のハイパーエリート」等、追加のサンプルキャラクターとも連動させることができます。
 シナリオのイメージ・ソースの一つには、バリントン・J・ベイリー『カエアンの聖衣』があり、これがタイトルにある「繭」のイメージに重ね合わされるというわけです。
 ジェンダー・バイアスから解放されたはずのトランスヒューマン社会において、なおかつ、「性」にこだわるとはどういうことか? 
 それを考えるヒントにもなるかもしれません。

 「SF Prologue Wave」の小説を読んだら、ぜひ、実際に『エクリプス・フェイズ』世界に飛び込んでみましょう!
 あなたのクリエイティヴィティが、さらに刺激されること、間違いありません。