文:朱鷺田祐介 協力:『エクリプス・フェイズ』翻訳チーム
岡和田晃
「Role & Roll」(アークライト/新紀元社)は、会話型ロールプレイングゲーム(テーブルトークRPG、TRPG)やボードゲームの記事を中心に扱ったアナログゲーム(電源を使わないゲーム)の月刊情報誌です。毎号さまざまなタイトルが紹介&サポートされていますが、「Role & Roll」Vol.108には、『エクリプス・フェイズ』のリプレイ・シリーうズ「月の熾天使~マーズ・サイクラーの帰還~」の第2回が掲載されています。
「Role&Roll」Vol.106までは「エントリー・ミッション」と題し、『エクリプス・フェイズ』世界の入門、あるいはゲーム・ファンへ向けたSF入門を目指した記事が連載されていました。
前号「Role&Roll」Vol.107からは、「リプレイ」の新シリーズ「月の熾天使~マーズ・サイクラーの帰還~」の連載が開始されています。
さて、リプレイ(英語ではReplay-Novel)とは、何でしょうか?
これは、ロールプレイングゲーム(本記事の場合は『エクリプス・フェイズ』)を遊んでみた経過を録音し、文字に起こして読みやすく編集したもの。
参加プレイヤーと司会進行役のゲームマスターでストーリーが進められていくので、ドラマの台本のようにト書きとなっています。
このような形式のため、リプレイでは、ゲームならではの臨場感と双方向性が活かされた表現となっており、小説とは、また違った面白さがあります。
この「月の熾天使~マーズ・サイクラーの帰還~」は、「Role&Roll」Vol.88~91に掲載されたリプレイ「金星の人狼-Garou in the Venus-」の続編となっています。話そのものは前作とは独立しているので、今回から読み始めていただいて、まったく問題ありません。
「SF Prologue Wave」の『エクリプス・フェイズ』小説をお愉しみの方々であれば、きっとご満足いただけるものと思います。
火星周回船(マーズ・サイクラー)「レイジー8」で帰還したのは、有翼義体に身をまとったハイパー・エリートの娘ルクサーヌ。月=ラグランジュ同盟の首都エラトーで進行する「ザ・プロジェクト」の陰謀とは?
冒頭に記されたこのようなキャッチどおり、今回は「月のハイパーエリート」ことルクサーヌの内的な葛藤に焦点が当たります。
『エクリプス・フェイズ』は、フォーク(分岐体)と呼ばれるコピーを製造することができますが、この設定が存分に活かされたシナリオの妙は、リプレイに慣れた読者はもとより、SF小説しか読んだことのないの読者にも、必ずや訴えかけるものがあるでしょう。
とりわけルクサーヌの脳内で、「ザ・プロジェクト」のイデオロギーに支配された多重人格「導師(イマーム)」との対話が繰り広げられるシーンは、必見です。
カウンターテロに奔走する「ファイアウォール」のエージェントたちの活躍は、冒険小説を読むのにも似た、手に汗握る感覚を提供してくれます。
本リプレイを読み終えたなら、ぜひ「Role&Roll」Vol.95のシナリオ「マーズ・サイクラーの帰還」や、「SF Prologue Wave」に掲載された小説「マーズ・サイクラーの帰還」にも目を通してみてください。
また、本記事では、「アクアノートの探索者」というサンプルキャラクターが紹介されています。これは水中活動に適応した生体義体(バイオモーフ)で、エラとヒレが備わっており、水面下200メートルの気圧にも堪えることができます。
本キャラクターは、ゲームデザイナーでもある朱鷺田祐介氏のオリジナル・デザインで、未訳サプリメント(追加資料集)で紹介される設定を用いています。リプレイ内では、タイタンの探検家アルビンのフォークという形で登場します。
「SF Prologue Wave」の小説を読んだら、ぜひ、実際に『エクリプス・フェイズ』世界に飛び込んでみましょう!
きっと、あなたのクリエイティヴィティが、さらに刺激されること、間違いありません。
※本シナリオにおいては、ロールプレイングゲームそのものの基本的な考え方については説明がなされていません。お手数ですが各種入門書やWebサイト等をご覧のうえ、ご参照いただけましたら幸いです。
「Role&Roll Station」では『エクリプス・フェイズ』体験会が開催されています。参加費用は無料、SF初心者の方もゲーム初心者の方も、イチから丁寧にレクチャーいたしますので、ぜひご参加ください。