文:朱鷺田祐介 協力:『エクリプス・フェイズ』翻訳チーム
岡和田晃
「Role & Roll」(アークライト/新紀元社)は、会話型ロールプレイングゲーム(テーブルトークRPG、TRPG)やボードゲームの記事を中心に扱ったアナログゲーム(電源を使わないゲーム)の月刊情報誌です。毎号さまざまなタイトルが紹介&サポートされていますが、今回の「Role & Roll」Vol.107には、『エクリプス・フェイズ』のリプレイ「月の熾天使~マーズ・サイクラーの帰還~」が掲載されています。
新しく始まったリプレイ・シリーズの第1回です。
前号までは「エントリー・ミッション」と題し、『エクリプス・フェイズ』世界の入門、あるいはゲーム・ファンへ向けたSF入門を目指した記事が連載されていました。
今号からは装いも新たに、「リプレイ」の新シリーズ「月の熾天使~マーズ・サイクラーの帰還~」の連載が開始されます。
リプレイ(英語ではReplay-Novel)とは、『エクリプス・フェイズ』をゲームとして遊んでみた記録を録音し、文字に起こして読みやすく再編集を加えたもの。参加プレイヤーと司会進行役のゲームマスターでストーリーが進められていくので、戯曲のようにト書きの形式が採用されています。このように、リプレイでは、ゲームならではの臨場感と双方向性が活かされた表現となっており、小説とは、また違った面白さがあります。
今回のリプレイは、「Role&Roll」Vol.88~91に掲載されたリプレイ「金星の人狼-Garou in the Venus-」の続編です。
とはいっても、話そのものは前作とは独立しているので、今回から読み始めていただいて、まったく問題ありません。
近未来の太陽系を扱う『エクリプス・フェイズ』。今回の舞台は月(ルナー)です。ここは月=ラグランジュ同盟という政治組織の中核であり、多くのドーム都市を有しています。
“大破壊”によって地球が壊滅するのを“特等席”で目撃することとなった月は、“大破壊”の主要な原因のひとつ、戦闘AIティターンズの脅威を間近で感じています。そのために月は、警戒と保守化の度合いが増しているという緊張した状況に置かれています。
こうした背景に、エクスサージェント・ウィルスがらみの「絶滅リスク(X-リスク)」がからんできます。
エクスサージェント・ウィルスとは、人間にも機械にも感染し、異形への変異をさせるという危険なウィルスなのですが、かつて月では、ウィルスの罹患者たちを受け入れたドーム都市ニュー・ムンバイが、核の炎で焼かれたというトラウマがあったのです。
登場人物とストーリーの双方のレベルで、SF-RPGならではの複雑な設定がダイナミックに活かされたリプレイは、あなたを夢中にさせることでしょう。
ぜひ、「Role&Roll」Vol.95のシナリオ「マーズ・サイクラーの帰還」や、「SF Prologue Wave」に掲載された小説「マーズ・サイクラーの帰還」と、ぜひ読み比べてみてください。
本記事では、ニュー・ムンバイの「消滅」を一種のトラウマとして抱えた「月のハイパーエリート」というサンプルキャラクターが紹介されています。
本キャラクターは、ゲームデザイナーでもある朱鷺田祐介氏のオリジナル・デザインで、サプリメント(追加資料集)『Sunward』で紹介される「ルナー・フライヤー義体」を身につけています。これにより、背中に生えた羽根を使って、低重力であれば自在に飛び回ることができるのです。
この「月のハイパーエリート」は、今回から初参加となるプレイヤー・キャラクター(主人公)の一人、ルクサーヌの設定としても使用されています。ルクサーヌの葛藤は重要な伏線となっているので、ぜひ注目してみてください。
「SF Prologue Wave」の小説を読んだら、ぜひ、実際に『エクリプス・フェイズ』世界に飛び込んでみましょう!
きっと、あなたのクリエイティヴィティが、さらに刺激されること、間違いありません。
※本シナリオにおいては、ロールプレイングゲームそのものの基本的な考え方については説明がなされていません。お手数ですが各種入門書やWebサイト等をご覧のうえ、ご参照いただけましたら幸いです。
「Role&Roll Station」では『エクリプス・フェイズ』体験会が開催されています。参加費用は無料、SF初心者の方もゲーム初心者の方も、イチから丁寧にレクチャーいたしますので、ぜひご参加ください。