「「女神キット=ラーの幽閉されしピラミッド」をプレイして」仲知喜

「女神キット=ラーの幽閉されしピラミッド」をプレイして 仲知喜

●はじめに(岡和田晃)

 すでに告知されているので、ご存知の方もいらっしゃるでしょうが、『モンスター!モンスター!TRPG』のコアとなる『ケン・セント・アンドレによるズィムララのモンスターラリー【ワールド編】』(拙訳)が、FT書房のBOOTHで販売開始となりました。

 こちらは8月10日のTGFF(テーブルゲームファンフェスタ)2025より各種イベントでの頒布が開始、電子書籍版の頒布も行われており、。各種ゲーム専門店にも並びます。
 迷っておいでの方がいらっしゃったら、まずは、当該BOOTHページに「いいね!」をしていただくところからいかがでしょうか?

 本書には日本語版のボーナスとして、シナリオ「女神キット=ラーの幽閉されしピラミッド」が収録されます。以前には「キット=ラ」(Kit-Ra)と表記していましたが、太陽神ラーのRaと同じことから、「キット=ラー」に、変更することになりました。少しでも良いものを読者の皆さまへお届けすべく、ギリギリまで調整を重ねております。

 翻訳のTRPGでもテストプレイは欠かせません。『猫の女神の冒険』のGMアドベンチャーに引き続き、テストプレイには、ゲームデザイナーの伏見健二さん、作家の齊藤(羽生)飛鳥さん、翻訳家・編集者の中村俊也さんという面々が参加いただきました。

 そのなかでも、仲知喜さんのフィードバックを以下にご紹介したいと思います。
 仲さんは、海外RPGの最新情報を熱心にdigしておいでの方で、その言説には常々刺激を受けてきました。最近では「Role&Roll」Vol.232と234に掲載されたポストヒューマンRPG『エクリプス・フェイズ』のシナリオ「大量破壊兵器(WMD)を奪取せよ!」(文:岡和田晃、監修:朱鷺田祐介&待兼音二郎)にご協力をいただいております。ちなみに、これは『エクリプス・フェイズ』第2版の最新アドベンチャーのシナリオを現行環境にアップデートしたもの。

 なお、今回のシナリオは次元をまたにかけるエーテル・ドラゴンが開けた転移門(ポータル)を通って地獄の領域として知られる次元界に飛ばされる、というところから始まったシナリオなのでした。

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「女神キット=ラーの幽閉されしピラミッド」をプレイして
 仲知喜

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 昨夜(7/3)は『ズィムララのモンスターラリー【ワールド編】』収録シナリオ「女神キット=ラーの幽閉されしピラミッド」のテストプレイにお招きいただきました。CD&D(クラシックD&D)のマスター帯(26~36レベル)の冒険を2時間30分に濃縮したかのようなセッションでした。まさにイメージの「蕩尽」でした。すごかった!

 参加者のみなさん、お疲れ様でした。岡和田さんGMありがとうございました。
 先日の感想を言語化しておきたかったので、以下にまとめました。

・ダンジョンデザインの感想

 今回のダンジョン(ピラミッド)は、居住空間としてのリアリティがあり、探索を進める中で次に何が起こるかある程度予測できるところがよかったです。各所に配置されたインタラクティブを誘発する仕掛けが明白でありながらも怪しげで、怖いもの見たさの好奇心を大いに刺激されました。また、動的なイベントが採用されていたことで、ダンジョン内での時間経過と、それに伴う状況変化への対応を常に意識させられました。総じて、非常に優れたダンジョンデザインだったと感じています。個人的には、ロープを使って崖を降りるという、まさにオールドスクールな「あるある」展開に感動しました。

・シナリオ全体のイメージ

 シナリオに登場する場所、NPC、小道具の数々は、神話、フィクション、ゲームなどからの引用がまさに「大盤振る舞い」といった趣で、例えるならおもちゃ箱と大英博物館の展示品を同時にぶちまけたような様相でした(スティーブ・クロンプトンのポップなアートも相まって)。そこに壮大な文脈があるのか、あるいは実は何も無いのか、知る由もありません。しかし、どこか後ろめたさすら感じるほどのイメージの奔流には、祝祭めいた熱気がありました。

 付け加えると、ダンジョン探索が「一人暮らし(三人暮らし)の女子の部屋を家探しする」という状況だった点も、作者の秘めた趣味が垣間見えるようで妙に面白かったです。あくまで私見ですが。

 「女神キット=ラーの幽閉されしピラミッド」を、単に「なんでもありの世界観」だと評するのは容易ですが、実際はそれ以上の作品だったと感じています。あのイカれたお祭り騒ぎの最中に思わずプレイヤーの口から出た、「俺らも大概(モンスター)やけどね」という言葉は、案外本作の本質を突いていたのかもしれませんね。

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初出:「FT新聞」No.4551(2025年7月9日号)