「企業コラボレーションの可能性(第3回)」

【座談会の経緯】一般社団法人、日本SF作家クラブは、清水建設株式会社とのコラボレーションプロジェクト、「建設的な未来」(https://www.shimztechnonews.com/topics/sf/index.html)を実施してきました。
 この度、このプロジェクトの第一期が終わり、第二期が開始されるにあたって、プロジェクトコーディネーターの大橋博之さん、作家クラブ事務局として調整に当たった鬼嶋清美さん、寄稿者でありPrologue Wave編集部の伊野隆之に加え、企業コラボレーションに詳しい大澤博隆さんと宮本道人さんを加えて、第一期の成果を振り返り、第二期を展望するとともに、SF作家と企業とのコラボレーションの可能性について展望した座談会を行いました。
 なお、本座談会は9月20日から10月11日にかけ、テキストベースで実施したもので3回に分けて掲載します。

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■第3回 「SFプロトタイピング」で企業とのコラボレーションを展開する
大橋:実は、僕が「SFプロトタイピング」を知ったのは、恥ずかしながら最近なんです。
 清水建設さんとのコラボレーションが、まさに「SFプロトタイピング」に該当すると思うんです。
 で、「SFプロトタイピング」を調べて見ると、今、まさに「SFプロトタイピング」の時代のように思います。
 にわかの僕が「SFプロトタイピング」を語るより、大澤さんに「SFプロトタイピング」の概要を教えて頂けると助かります。

大澤:SFプロトタイピングは簡単に言うと、科学技術の使い方や、未来の社会の制度設計を探るために、SFを使おうという手法です。技術や社会が複雑になり、誰もがわかりやすく共有できる「問題」が社会から無くなりつつある現在において、SFが人々の考え方を刷新する力を、より積極的にイノベーションに利用していこう、という手法です。
 この単語を明確に使い始めたのは、ブライアン・デイビッド・ジョンソンという方で、本(『インテルの製品開発を支えるSFプロトタイピング』亜紀書房/2013)を出してます。
 ただ、SFがイノベーションに影響してきた事例自体は、もっと古くからあります。例えばスペキュラティブデザインという、課題解決ではなく課題「発見」を目指すデザイン手法は、ルーツの一つにブルース・スターリングが提案した「デザイン・フィクション」が影響しています。また、コリイ・ドクトロウの「MAKERS」は、後に消費者自身が作りたいものを作る、というメイカームーブメントに影響を与えました。ヴァーナー・ヴィンジがレイ・カーツワイルと共同で提案した人工知能の技術的特異点「シンギュラリティ」も、SFが未来予測に影響した例だと思います。遡れは宇宙開発の父であるコンスタンティン・ツィオルコフスキーが、研究者でありかつSF作家でもあったこと、彼がジュール・ヴェルヌの「月世界旅行」から受けた影響などの事例もあります。
 日本でも1970年の大阪万博の際に、複数のSF作家が将来の社会ビジョンの設計に関わっていますが、これもSFプロトタイピングのルーツと言えるかもしれません。また、ロボット・人工知能分野における鉄腕アトムのように、SFが研究者や技術者に共有されるシンボルとなって、発展を促してきた事例もあります。このあたりは早川書房さんのS-Fマガジンで連載している研究者へのインタビューシリーズ『SFの射程距離』で調べている点になります。
 こうしたSFの効果を、より積極的に利用しようというのが、SFプロトタイピングですね。アメリカではSFプロトタイピングを専門とする会社も出てきていますが、日本でもそうした会社が立ち上がりつつあります。

大橋:確かに、今までもSFで未来を予測することは多々ありました。
 ジュール・ベルヌは、よく「未来を予言した」と言われます。でも、そうではなく、ベルヌは当時あったテクノロジーを延長させた未来を物語として書いたんです。
 なので、あまりにも突拍子な未来予想はあまりないんです。
 というのは蛇足として、1970年の大阪万博の際に、複数のSF作家が将来の社会ビジョンの設計に係わったとしても、それを社会実装しようという視点はなかったと思います。
 「日本でもそうした会社が立ち上がりつつある」とのことですが、SFを社会実装しようという流れなのでしょうか?

大澤:SFプロトタイピングについては、結果的には「SFを社会実装する」ことになるかもしれませんが、作家の書いたSF作品を元に技術を開発し、社会実装を行う、という単純な親子関係とは違います。
 どちらかというと、作家と企業、制度設計に関わる関係者が、共同で意見を出し合って原アイディアを作り上げていき、作家はそれを元に作品を作り、企業や制度設計側はそれを社会に実装するための技術や制度を開発する、という共作のイメージが強いと、私は思います。実際にどのような事例があるか、また筑波大と三菱総研との取り組みで現在どのようなことが行われているかについては、宮本さんからご紹介いただければと思います。
 1970年の大阪万博前には、小松左京さんも参加された「万国博を考える会」があり、研究者や行政関係者も交えた議論が行われました。この研究会が作り上げた万博のビジョンは、その後の日本社会に大きな影響を与えましたが、一方で小松左京さんもこの議論に影響を受け、傑作「日本沈没」を書かれています。この構造は、スケールは大きいですが、上記の話に近いかもしれません。
 ただこれは結果的にそうなったわけで、ご指摘どおりはじめから意図的に関係者が行ったわけではありません。SFプロトタイピングは、こうしたサイクルをより意図的に回すようなイメージで、私は捉えています。

宮本:日本ではいま、WIRED Sci-Fiプロトタイピング研究所さんやアノン株式会社さんが積極的にSFプロトタイピングを推進していらっしゃいますね。
 WIREDは「BRAVE NEW WORLD SFがプロトタイプする未来」(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000703.000000930.html)という特集を組んでいました。
 アノン株式会社にはChief Sci-Fi OfficerとしてSF作家の樋口恭介さんがいらっしゃって、現在SFプロトタイピングの本を執筆中とのことです。(https://note.com/kyosukehiguchi/n/n33d4b7698968
 三菱総研さんと大澤さん・僕の取り組みでは、50年後の未来を作家さんと一緒に想像してフィクションを制作するプロジェクトを行っていたり、新人研修や子供さんにSFプロトタイピング的なワークショップを体験してもらうといったことも行っています。(「SFは空想でもあり、実践でもある」(https://www.mri.co.jp/50th/events-sf/index.html))
 また、小説ではなく漫画でも、SFプロトタイピング的に未来を想像する需要は生まれており、HITE-Mediaさんが「マンガミライハッカソン」という、クリエイターと研究者を組み合わせて漫画を作るイベントを行っていました。
 ちなみに、そこで大賞を取ったのは、僕が原作を務めた作品「Her Tastes」だったりします。(http://stg.hite-media.jp/manga/
 このチームにはその後もSFプロトタイピング的な仕事が入ってきて、先日はNTT研究所発 触覚コンテンツ専門誌「ふるえ」vol.30に犬のお散歩の未来を考えた漫画「いぬりてぃ」が掲載されました。(http://furue.ilab.ntt.co.jp/book/202009/contents2.html
 このようにSFプロトタイピングが注目される背景には、「未来を予想してからバックキャスティング的に今のビジネスを考えよう」みたいなプロジェクトが、ビジネスパーソンに売れている科学読み物に描いてある内容の寄せ集めみたいになってしまいがちという悩みがあると思います。そこに異物をどう入れるかというのは、普段からたくさんの未来像を想像していない人にとってはけっこう難しいし、そもそもSFみたいな枠がないと変な予想を発表しにくい。
 未来をよく考察している企業の中には「起こり得る未来のシミュレーション」みたいなものがそれなりに得意で、様々な分野についてそれぞれ高い確率で起こる未来を描くことができるところもあります。でも、世の中にはあまりにも多数の現象があるので、実際の未来では、低い確率でしか起こらないと思われていたことも起こるかもしれません。特に、それを扱ったフィクションが書かれたら、それ自体が引き金になって、現実化する可能性も上がるかもしれない。
 こういう想像については、企業が「普通」に発表するのを避けるであろう、ビジネスパーソンの不得手な領域です。そこで、SFの出番、となるわけです。SFというフォーマットなら、変わった未来を描いても文句を言われにくいし、読者が読んだときの反応も会社にとっては参考になる。他にもSFプロトタイピングが注目されている理由はたくさんあると思いますが、個人的にはそういう期待が大きいと思っています。

大橋:面白いですね。
 僕が運営するwebメディア【COLLABRI】でアノン株式会社さんと藤井大洋さんの対談を行いました。https://collabri.news/anon-sfwj/
 ちなみに、【COLLABRI】では、今後もSFプロトタイピングに注目して、SFプロトタイピングに取り組んでいる企業の対談を行う予定です。
 「SFプロトタイピング的に未来を想像する需要」では「ミライズマガジン」というアマチュアの活動もあります。https://note.com/miraizmag
 SFプロトタイピングに対する盛り上がりをすごく感じます。
 コロナの影響で、オフィスを持たない企業が増え、社員も地方でリモートを使って仕事をするようになりました。すると都市の機能は衰退し、いろんな仕事がなくなって行くでょう。
 JR東日本は、中期計画で「変革2027」を発表しています。(https://www.jreast.co.jp/investor/moveup/pdf/all.pdf
 これは、「これからは鉄道がなくなるかもしれない」という危機感を持ってのことです。
 JR東日本とコラボレーションするなら、「鉄道のなくなった時代の鉄道のありかた」をSFで描くことになるかもしれません。
 それは、ディストピアかもしれないし、ユートピアかもしれない。
 でも、「変革2027」そのものが、ディストピアに備えるための提言であるように、SFでディストピアを描き「何に備えないといけないのか」を示すことで、新しい事業が生まれるかもしれない。
 SFにはそんな役割もあると思います。
「ビジネスパーソンに売れている科学読み物に描いてある内容の寄せ集めみたいになってしまいがちという悩み」に対して「普段からたくさんの未来像を想像していない人にとってはけっこう難しい」というのは、そうだと思います。プロが手掛けるSFであるべきだとも思います。
 あと、宮本さんへの質問なんですが、SF作家から見て、SFプロトタイピングの可能性はどうお考えですか?
 つまり、誰でも書けるわけでもないと思うんです。
 大澤さんが小松左京さんの名前を挙げましたが、小松さんは企業の論理を理解していたから、「首都喪失」のようなSFプロトタイピング的な作品を多く書くことが出来たと思うんです。

宮本:そうですね……チームでのSFプロトタイピングは得意でも個人でのSF執筆は不得意、という「SFプロトタイピング作家」が今後は登場してくるかもしれません。
 というか僕自身、科学考証や評論、サイエンスライター的なお仕事をしてきて、チームでフィクションを作る経験も豊富なので、SFプロトタイピング的な仕事の依頼を(オモテに出ている以外にも)色々受けてきたのですが、一人でSF小説を書くような仕事の経験はありません。
 もちろん逆も然りで、ふだんSFを書いているけれど、企業と組んだ途端にうまく書けなくなったというSF作家さんもいらっしゃるでしょう。
 そういう場合はまず大事なこととして、良いSF作品制作と良いSFプロトタイピングプロジェクトは違うという認識が必要だと思います。SFプロトタイピングの場合、良いSF作品を作ることは一つの達成目標には成り得ても、唯一のゴールではなく、むしろ手段や過程として機能することを期待されることも多いです。
 例えば、「プロトタイピング」として試作品を作るのが目的の一つと考えると、アウトプットとしてのSF作品には以下のようなポイントが求められます。

・まだこの世であまり考えられていない製品・制度・社会(あるいは新しい使用法など)がデザインされている。
・それが使われている様子(あるいはそれが作られるまでの過程や、それが存在する社会など)が描かれている。
・その後の現実化(商品化・社会実装など)の際に役立つ情報(あるいは今後の課題など)が散りばめられている。

 さらにプロジェクト全体で考えると、SF作成を媒介にしたコミュニケーションの過程自体も重要ですし、アウトプットだけを見て「このプロジェクトは質が高い/低い」と評価することはできなかったりします。
 SFプロトタイピング=未来予測フィクション、みたいに勘違いされることも多いのですが、このような「実用性」も考慮に入れると「未来予測の面白さ」以外の評価軸がたくさんあることが分かると思います。
 もちろん、作家さんがSFプロトタイピングのコツを把握していなくても、一緒に組んでくれるチームや企業がコツを掴んでいれば、多くの問題はクリアできます。今後、僕自身もこれまでの経験を活かし、そういう相性の良い組み合わせを作る手助けをできたらなと思っていたりしますね。
 大澤さんは、企業とSFの接点に関してなにかアドバイスはありますか?

大澤:何らかのかたちで、接点を作ることは大事だと思います。私自身がMRIと出会ったときは、講演会等でMRI側に声をかけていただいて始まりましたが、接点がなかなかないと、動きづらい面はありますよね。今はCOVID-19下で難しいとは思うのですが。
 イラストレーターの方はポートフォリオを持っている方も多いですが、同じようなポートフォリオは、作家の方にとって今後、必要になってくると思います。また、こうした出会いの場をSF作家クラブがサポートすることも、将来的に考えて良いと思います。
 宮本さんの指摘通り、SFプロトタイピングに必要なスキルは、一般の小説の作成とは少し異なっているように思います。よって、一般的なSF執筆でチャンスを得られていない方でも、SFプロトタイピングには向く可能性がありますし、そのことは、なかなか企業側からはわからないと思います。マッチングの機能も、作家クラブ側で担えるといいかもしれませんね。

伊野:お二人のお話を伺っていてSFプロトタイピングという形で企業サイドがSFに関心を持っているという状況は、作家にとっては一つのチャンスなのかと思いました。特に大澤さんの仰られたポートフォリオという面では、SFPrologueWaveがもしかしたら役に立つかも知れないと思いました。一方で、少し心配があるとすれば、やはりミスマッチの問題で、一つはSFがサイエンスフィクションからニューウエイヴ、スペキュラティヴフィクションと広がってきた中で、必ずしも現実の科学や技術と言ったものを基盤としないものに広がってきたとすれば、企業側の期待するSFとの間にギャップがあるんじゃないかということです。もう一つは宮本さんの仰られたことに関連するんですが、小説家は小説という形のアウトプット、言ってみればプロダクトに関心があるのに対し、SFプロトタイピングではプロセスを重視するという違いがありそうなところです。つまりプロジェクトのスコープや成果イメージのすり合わせがうまくいかないと、双方にとって不満の残る結果になるんじゃないかということです。特に小説家の評価は小説で決まるのでなかなか妥協しづらいように思います。その意味でもマッチング機能が重要になりそうです。あと小説家は基本が個人プレーなので、チームプレーができるかという問題もありますが。

鬼嶋:だから、小松左京さんが70年代80年代に果たした役割は大きかったですよね。『復活の日』『日本沈没』と同じくらい、国際SFシンポジウムの開催や大阪万博は小松さんの重要な業績ですし。それに何かあるとテレビに出演してご意見番的な発言もされていたし。実際、わたしも小松さんの小説を読むずっと前に、子どもの頃にテレビに出ている小松さんを観て、「SF作家小松左京」を刷り込まれていますし。
 それだけに、世間からSF作家に「小松左京的ゼネラリスト」を期待されることもわかるし、一方で日本SF作家クラブの事務局長をやって、そんな人は小松さん以外にいないとわかりました。『継ぐのは誰か?』って誰も継げない。いないから小松左京の偉大さがより輝いて見えるわけです。
 でも求められることに、チームプレーで応えることは出来るはずで、今回の清水建設とのプロジェクトも日本SF作家クラブが受けて、各会員の個性をまず見せてみたというところです。
 いま作家クラブも社団法人一期の藤井太洋会長時代、二期の林譲治会長時代を経て、三期の池澤春菜会長を迎え、まさにチームプレーの出来る体制作りに着手したところです。期待してもらっていいと思いますよ。

宮本:鬼嶋さんの仰るように、チームプレーは大事ですね。そこにはSF作家クラブに多様なメンバーがいることが効いてくると思います。大学だと最近、研究者だけでなくリサーチアドミニストレーターとか技術補佐員とか、別の形のプロフェッショナルを大事にするのが学問の発展に重要みたいな考え方があります。同じように、SFを「運営」したり「補佐」したりするプロフェッショナルが確立すれば、作家自体はチームプレーが苦手でも、それぞれにあったコラボの良い形が作れたりするのではないでしょうか。
 伊野さんの仰る「企業側の期待するSFとの間にギャップがあるんじゃないか」問題は、そういうプロが間を埋めてあげる必要があると思います。おそらくこれからSFプロトタイピングプロジェクトが増えてくると、似たような作品が多くなってくるはずです。というのも、企業側で思いつく要求がなかなかワンパターンから逸脱しないでしょうし、NG事項も多いからです。そうなってきたとき、例えばファンタジー的な世界を舞台にしていても、企業側の要請にメタファーレベルでは応えればOKではないか、といったような感じで範囲を拡張させて企業を納得させる役回りがいないと、SFプロトタイピングはいずれ新規性のないレッドオーシャンになるでしょう。
 でも逆に、そこさえクリアすれば、サイエンスフィクションがスペキュラティヴフィクションに広がったように、SFプロトタイピングが別の地平にたどり着く可能性は十分にありますし、もしそうなったらそれはSFジャンル外に訴求する力も強いと思います。例えば、今のSFプロトタイピングには「ビジネスSF」みたいにラベルできるアウトプットは少ないですが、未来を舞台にした企業小説、経済小説、お仕事小説といったものを企業と一緒に細部にこだわって書けば、テレビドラマの『半沢直樹』や『下町ロケット』のようなヒットが狙えるかもしれません。
 ここまで僕自身、企業コラボで留意すべき点をたくさん語ってしまいましたが、つまるところ本当に大事なのは、「企業コラボとはこういうものだ」という枠組みに囚われず、新しい企業コラボの形を提案していく姿勢なのだと思っています。

大橋:清水建設さんとのコラボレーションは結果として、SFプロトタイピングになったのですが、これが最初から「SFプロトタイピングをやろう」として取り掛かったとしたら、僕が悩み過ぎて消化不良になったと思います。
 そもそも論として、「SFプロトタイピングとはなにか?」をSF作家と企業で共通認識を持ってスタートしないとギャップは広がっていく一方でしょう。
 とはいえ、SF作家の発想の自由を殺しては意味はないと思うんです。
 多様的な考えがあるのが面白いのであって、求めるものと違っても良しとすることも必要な気がします。
 僕としては、SF作家には現在の延長としての未来を考えるとき、「その時、人間はどのように考え、どう行動するか」を描くのが、SFプロトタイピングの役割ではないかと考えています。
 僕としてはSFプロトタイピングにとても可能性を感じるし、今後、SFプロトタイピングという切り口で、SF作家と企業のコラボレーションを推進したいと思っています。
 その意味では、「SFプロトタイピング・ラボ」を作りたいと考えています。ぜひ、大澤さん、宮本さんにも協力していただきたいものです。
 問題は、「SFプロトタイピング・ラボ」を日本SF作家クラブの外に作るか、内に作るかだと思っています。
 まあ、この続きは、大澤さん、宮本さんに個別に相談させて頂きたいです(笑)。
 この座残会をこれで終わらせてはなんの発展性もないので、「SFプロトタイピング・ラボ」を作るので、大澤さん、宮本さん! ご協力、お願いします。

伊野;全然意識していなかったんですが、確かに清水建設さんとのプロジェクトはSFプロトタイピングだったのかも知れません。一方で最初にSFプロトタイピングをやりますと言われたら、僕自身は手を挙げなかった可能性が大きいですし、やるとなっても入り口のところで悶絶していたかも知れません。その意味で大橋さんのような方にコーディネーター的な役割で参加してもらい、企業側との間で上手く通訳をして頂くと言うことが欠かせないのかも知れません。社団法人になったSF作家クラブがSF作家と企業とのコラボレーションのプラットホームとして機能できるのであれば、すばらしいことだと思います。今回の座談会が作家クラブ内外を問わずSFプロトタイピングのような作家と企業のコラボレーションへの理解を進める一助になることを期待して、とりあえずの締めくくりとしたいと思います。
 司会進行を引き受けて頂いた大橋さんを始め、ご参加頂いた皆さんにお礼を申し上げます。

 (完)