『月刊アナログゲーム情報書籍「Role & Roll」Vol.154「『エクリプス・フェイズ』入門シナリオ&運用ガイド ソードダンサー・オン・マーズ」』

文:岡和田晃(『エクリプス・フェイズ』翻訳チーム)、監修:朱鷺田祐介(スザク・ゲームズ)、待兼音二郎(『エクリプス・フェイズ』翻訳チーム)

 岡和田晃

 「Role & Roll」(アークライト/新紀元社)は、会話型ロールプレイングゲーム(テーブルトークRPG、TRPG)や、ボードゲーム、カードゲーム等のアナログゲーム(電源を使わないゲーム)を扱う月刊総合情報書籍です(2003年創刊)。
 毎号、プロとして活躍中のゲームデザイナーやライターにより、様々なゲームの紹介やサポートがなされています。
 「SF Prologue Wave」でも、「Role&Roll」掲載の『エクリプス・フェイズ』関連記事を、継続的に紹介して参りました。

 「Role&Roll」にはこれまで、『エクリプス・フェイズ』のルールブックを購入したはいいが、どう遊べばよいかわからない方のために入門用のシナリオが掲載されてきました。
 いずれも3時間程度の比較的短い時間で遊べる親切設計となっています。

 Vol.143掲載の「スパイダー・ローズの孤独」は、SFにおけるポストヒューマン・テーマを、戦闘&調査のバランスよく体験できるシナリオ。
 Vol.144掲載の「スカイ・アーク・クライシス」は、恐竜パニック・アクションもので、ユニークな舞台設定についての情報も豊富。
 Vol.145掲載の「女博士エヴァ・イオネスコの受難」はゲームブック形式の一人用シナリオ。ちょっと手を加えれば多人数用シナリオとすることもできます。
 Vol.146掲載の「ザ・ゾーン:失われたモスク」は、火星の危険地帯を探索するシナリオで、未訳サプリメントから舞台の抄訳も付いています。
 Vol.147掲載の「アビス・オブ・シンギュラリティ」は、小惑星隊を飛び回りながら陰謀劇をくぐり抜けるギャング映画のようなシナリオ。
 Vol.148掲載の「聖ニコラウス号の遭難」は、廃宇宙船をサルベージする探索シナリオ。ダンジョンや幽霊屋敷を探検するノリで冒険することができます。
 Vol.149掲載の「パンドラ・ゲート・キャノンボール」は、別名ワームホールすごろく。一人でも多人数でも、遊びながらパンドラ・ゲートの設定を習得できるスグレモノのボードゲームです。
 Vol.150掲載の「海洋惑星ドロップレットの危機」では、太陽系外惑星を舞台にした海洋ホラー映画のような冒険が楽しめます。未訳サプリメントから設定の抄訳もついており、公式サイトの無料マテリアルを使えば、さらに奥深い冒険が楽しめます。
 Vol.151掲載の「タイタンのゲーム・プレイヤーたち」では、タイタン連邦のドーム都市にて、チェスボクシングという“究極のスポーツ”にちなんだダイナミックなストーリー志向と、精密なハッキング戦が入り混じったシナリオになっています。
 Vol.152掲載の「滅びの星に声の網」は、太陽系外惑星、ニルヴァーナやモラヴェックを舞台に、トランスヒューマニズムの元にある宗教的・哲学的な部分を導入として用いつつ、ゲート・ホッピングなどダイナミックな物語的展開を味わえます。
 Vol.153に掲載された「金星蟹工船――ある鉱山労働者の死」は、ゲームマスターとプレイヤーがマンツーマンで遊べるようになっています。ストーリーの謎解きを楽しみながら、『エクリプス・フェイズ』独特の死と復活のルールを学べる仕様になっております。

 そして、Vol.154の「ソードダンサー・オン・マーズ」は、オーソドックスなアクション&アドベンチャーを目指したシナリオで、目的は火星のオリンポス山に隠されたXリスクを排除するということ。わかりやすい内容になっています。キャラクター造形や舞台の風景描写にこだわっており、SFは不必要に難しいという先入観を取り払うのには最適なシナリオです。
 参考にしたのは、『ブルー・マーズ』が創元SF文庫から邦訳されたばかりの、キム・スタンリー・ロビンスンの“火星三部作”とはいえ、シナリオを読んだり運用したりするにあたって、“火星三部作”についての予備知識は一切必要ありません。
 また、未訳サプリメント『Sunward』の抄訳もあり、火星の荒野を旅するためのルールや、追加義体(モーフ)の「マーシャン・アルピナ-」が紹介されています。火星を舞台にしたシナリオを自作し、あるいは小説創作を試みるためにも、必須の作品と言えるでしょう。

 なお、9月1~3日に熱海で開催される「TRPGフェスティバル」内「R-Con in TRPGフェスティバル」で、朱鷺田祐介と岡和田晃が『エクリプス・フェイズ』のゲームマスターをつとめます。
 「TRPGフェスティバル」とは、例年開催されていた「ジャパンゲームコンベンション(JGC)」の後継イベントです。
 2017年8月13日現在は、一般申し込みが終了しキャンセル待ちのみの受付となっていますが、ご興味のある方は、この機会に『エクリプス・フェイズ』を体験してみましょう!

 「SF Prologue Wave」の小説を読んだら、ぜひ、実際に『エクリプス・フェイズ』世界に飛び込んでみましょう!
 あなたのクリエイティヴィティが、さらに刺激されること、間違いありません。

岡和田晃プロフィール