文:岡和田晃、監修:朱鷺田祐介(スザク・ゲームズ)、待兼音二郎(『エクリプス・フェイズ』翻訳チーム)
岡和田晃
「Role & Roll」(アークライト/新紀元社)は、会話型ロールプレイングゲーム(テーブルトークRPG、TRPG)や、ボードゲーム、カードゲーム等のアナログゲーム(電源を使わないゲーム)を扱う月刊総合情報書籍です(2003年創刊)。
毎号、プロとして活躍中のゲームデザイナーやライターにより、様々なゲームの紹介やサポートがなされています。
「SF Prologue Wave」でも、「Role&Roll」掲載の『エクリプス・フェイズ』関連記事を、継続的に紹介して参りました。
今回ご紹介する「Role&Roll」Vol.151では、「『エクリプス・フェイズ』入門シナリオ&運用ガイド タイタンのゲーム・プレイヤーたち」が掲載されています。
『エクリプス・フェイズ』の初心者から経験者まで、安心して楽しくプレイできる入門シナリオ&運用ガイド。命がけで究極のゲーム”チェスボクシング”に勝利せよ! 技術先進主義を奉じるタイタン連邦で、ハッキング戦に挑め!
というコンセプトの記事。
「Role&Roll」にはこれまで、『エクリプス・フェイズ』のルールブックを購入したはいいが、どう遊べばよいかわからない方のために入門用のシナリオが掲載されてきました。
いずれも3時間程度の比較的短い時間で遊べる親切設計となっています。
Vol.143掲載の「スパイダー・ローズの孤独」は、SFにおけるポストヒューマン・テーマを、戦闘&調査のバランスよく体験できるシナリオ。
Vol.144掲載の「スカイ・アーク・クライシス」は、恐竜パニック・アクションもので、ユニークな舞台設定についての情報も豊富。
Vol.145掲載の「女博士エヴァ・イオネスコの受難」はゲームブック形式の一人用シナリオ。ちょっと手を加えれば多人数用シナリオとすることもできます。
Vol.146掲載の「ザ・ゾーン:失われたモスク」は、火星の危険地帯を探索するシナリオで、未訳サプリメントから舞台の抄訳も付いています。
Vol.147掲載の「アビス・オブ・シンギュラリティ」は、小惑星隊を飛び回りながら陰謀劇をくぐり抜けるギャング映画のようなシナリオ。
Vol.148掲載の「聖ニコラウス号の遭難」は、廃宇宙船をサルベージする探索シナリオ。ダンジョンや幽霊屋敷を探検するノリで冒険することができます。
Vol.149掲載の「パンドラ・ゲート・キャノンボール」は、別名ワームホールすごろく。一人でも多人数でも、遊びながらパンドラ・ゲートの設定を習得できるスグレモノのボードゲームです。
Vol.150掲載の「海洋惑星ドロップレットの危機」では、太陽系外惑星を舞台にした海洋ホラー映画のような冒険が楽しめます。未訳サプリメントから設定の抄訳もついており、公式サイトの無料マテリアルを使えば、さらに奥深い冒険が楽しめます。
さて、今号の「タイタンのゲーム・プレイヤーたち」は、何やらフィリップ・K・ディックの小説を彷彿させるタイトルですが、実際にはイアン・M・バンクスの『ゲーム・プレイヤー』がイメージ・ソースとなっております。
「Role&Roll」Vpl.143の「スパイダー・ローズの孤独」がブルース・スターリングの『蝉の女王』のオマージュで、Vol.147の「アビス・オブ・シンギュラリティ」は、チャールズ・ストロスの『シンギュラリティ・スカイ』をモチーフにしていたのに引き続き、『エクリプス・フェイズ』の参考文献に上がっていた新しいSF作品を題材にしたシナリオです。
北欧式の技術先進主義を奉じるタイタン連邦。その都市ニュー・ケベックの北部のドーム、トルドー・マカレスターはチェスボクシングが大流行しているのです。
チェスボクシングとは、その名の通り、チェスとボクシングを交互に行なうスポーツで、SFファンにもおなじみ、バンド・デシネの巨匠エンキ・ビラルの考案になるゲームで、日本でも試合が開催されたことがあります。
『エクリプス・フェイズ』の世界では、こうしたチェスボクシングが人気のハビタットが実際に公式設定に存在しているのです! また、シナリオとしては、ふだん、あまり使われないか簡略化して処理されがちなハッキング戦へ焦点を当てたシナリオとなっており、ハッカー系のキャラクターを運用するためのガイドとしても使うことができるでしょう。
シナリオ展開はダイナミックで、映画的に派手な展開になっていますので、ストーリー志向のゲームマスター&プレイヤーにもうってつけでありましょう。
R&R vol.151掲載のエクリプス・フェイズのシナリオを読む。うん、「タイタン連邦ではチェスボクシングが流行している」とか設定に書かれてたら絶対このタイトルのシナリオ作るよな。…ふぅ、危うく被る所だった
— こたく@エクリプス・フェイズは良いぞ (@CotacN) 2017年4月15日
「SF Prologue Wave」の小説を読んだら、ぜひ、実際に『エクリプス・フェイズ』世界に飛び込んでみましょう!
あなたのクリエイティヴィティが、さらに刺激されること、間違いありません。