渡邊利道
岡和田晃と渡邊利道が参加する文芸誌『幻視社』を紹介します。
2004年創刊。以後1年から1年半おきのペースで主に秋に発行、現在八号を数える小説と批評の雑誌です。主宰の東條慎生は第35回日本SF大賞最終候補にノミネートされた『北の想像力』(岡和田晃編・寿郎社刊)にも論考が収録されている気鋭の文芸評論家。
常連執筆者は他に、作家・作詞家・アーティスト・構成作家と多彩な分野で活躍し放送批評懇談会のギャラクシー賞CM部門選奨に入賞したエンドケイプ、04年に第二回あさよむ文学賞にて大賞と読者賞を受賞した小説家でライターの佐伯僚、精緻な読解で知られる「猟奇カニ人間地下道に出現」の人気ブロガー・ガザミ、柳沢新名義でアナログ作品の個展などを開く美術家の狩野若芽などです。
短編小説の他、毎回特集を組んでレビューや文芸評論を掲載。
評価の高かったものとしては「イスマイル・カダレと〈東欧の想像力〉を読む」(五号)、「〈想像力の文学〉を読む」(六号)、「国書刊行会〈未来の文学〉を読む」「没後十年・二階堂奥歯」(七号)などがあります。また2008年に逝去された作家、向井豊昭氏の追悼特集(四号)のあと、持続的にその遺稿を紹介し、論考を掲載しています。
最新号の「八号」では、「熱/狂」というメインテーマでエンドケイプ、佐伯僚の短編小説競作。
ハヤカワJコレクションで『始まりの母の国』を刊行されている作家・文芸評論家の倉数茂をゲスト執筆者に迎え、「〈フィクションのエル・ドラード〉と水声社の本」と、「中村うさぎを読む」の二大特集。前者は、コルタサルなどの叢書全レビューと、特別採録で岡和田晃による2012年2月5日に開催されたSF乱学講座「ジュノ・ディアス『オスカー・ワオの短く凄まじい人生』を深く味わう」を収録。後者では、長いキャリアを持つ作家について、導入となる鼎談から、通時的な代表作レビューと長篇エッセイ二篇で本格的に論じました。
ほかに、五号から続く松籟社の叢書〈東欧の想像力〉のブックレビュー第三弾。さらに向井豊昭の未発表遺稿「骨の中のモノローグ」全文掲載と「向井豊昭アーカイヴ通信」。
全126ページの読み応えたっぷりの文芸誌であります。
さらに詳しくは幻視社のウェブサイトまでアクセスしてくださいませ。
「幻視社」は年二回のイベント「文学フリマ」で頒布されてきましたが、通販もあります。現在紙版の在庫は「八号」のみで、店舗では東京都文京区白山の選書ストア「双子のライオン堂」にて(特典付きで)購入できますが、それとは別に通販も受け付けております。四号から七号まではGumroadにて電子書籍(PDF)で発行しています。
【紙版通販について】
inthewall「あっと」king-postman.com
「あっと」を@に変えて送信して下さい。代金は送料不要で600円を銀行口座に振り込んで頂く形になります。手数料は各自ご負担願います。
注文時には、宛先御住所と、八号希望の旨、欲しい冊数を明記してください。それだけお知らせ下されば、御住所等の確認のためのメールの行き来をせずにすぐ発送準備ができます。
【電子書籍版通販について】
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以上、よろしくお願いいたします。