「月刊アナログゲーム情報誌「Role & Roll」Vol.106掲載「『エクリプス・フェイズ』エントリー・ミッション11 ゆりかごの海」

文:朱鷺田祐介 協力:『エクリプス・フェイズ』翻訳チーム

 岡和田晃

 「Role & Roll」(アークライト/新紀元社)は、会話型ロールプレイングゲーム(テーブルトークRPG、TRPG)やボードゲームの記事を中心に扱ったアナログゲーム(電源を使わないゲーム)の月刊情報誌です。毎号さまざまなタイトルが紹介&サポートされていますが、今回の「Role & Roll」Vol.106には『エクリプス・フェイズ』の「エントリー・ミッション」第11回、『進化の石板』が掲載されています。

 「エントリー・ミッション」とは、『エクリプス・フェイズ』世界の入門、あるいはゲーム・ファンへ向けたSF入門を目指した記事となっています。
 有名なSF小説やSF映画を題材にした、すぐに遊べる『エクリプス・フェイズ』の短篇シナリオを、毎号、日本語版オリジナルのものとして紹介・掲載していきます。
 また、特別付録として、ルールブックやサプリメント(追加設定資料集)から、サンプル・キャラクターを抜粋して翻訳・紹介しています。
 つまり、この記事と「Role&Roll」Vol.92のルールサマリーさえあれば、手軽に『エクリプス・フェイズ』世界で冒険することが可能になる、というわけです!

 今回の「エントリー・ミッション」は、ポーランドの作家スタニスワフ・レムの『ソラリスの陽のもとに』(『ソラリス』)が下敷きになっています。
 『ソラリス』はSFのオールタイム・ベストを挙げれば必ずノミネートされる傑作で、現在はハヤカワ文庫SFと国書刊行会から、2つのバージョンの翻訳で刊行されています。
 また、アンドレイ・タルコフスキー監督とスティーヴン・ソダーバーグ監督が、それぞれ映画版を製作しており、話題を呼びました。

 『ソラリス』の原作と映画は大きく解釈が異なるものになっていますが、惑星ソラリスを覆い尽くす「海」が、地球の人間とは完全に異質な知性を構築しているという設定は共通しています。そして視点人物である心理学者クリス・ケルヴィンは、その「海」の謎に直面することになります。SFならではの異文化との遭遇を丹念に描く本作は、“センス・オヴ・ワンダー”の妙味を存分に堪能させながら、その一歩先へ踏み出します。
 本「エントリー・ミッション」の「ゆりかごの海」では、パンドラ・ゲートの彼方、太陽系外の惑星「ポータル」から通じている未踏査ゲートの向こう側へ行き、S322星系に存在する人工的にテラフォーミングされた海洋惑星「クレイドル(ゆりかご)」を調査する、といったシチュエーションが描かれます。そこでファイアウォールのエージェントたちが目にしたものは何でしょうか? 

 今回ご紹介するサンプル・キャラクターは、「金星の交渉人」。金星のエアロスタットで暮らすセレブです。政界や芸能界に強いパイプがあり、人と人との橋渡しをするのが仕事です。荒事は、まったくの苦手ではありますが、その代わり、心理学・社会学・修辞学・ミーム学など、さまざまな学術分野に長けており、各種ネットワークにも顔が利き、マーケティングや人身煽動はお手の物。戦闘よりも交渉を楽しみたいプレイヤーに、オススメのサンプル・キャラクターです。

 「SF Prologue Wave」の小説を読んだら、ぜひ、実際に『エクリプス・フェイズ』世界に飛び込んでみましょう。きっと、あなたのクリエイティヴィティが、さらに刺激されること、間違いありません。


※本シナリオにおいては、ロールプレイングゲームそのものの基本的な考え方については説明がなされていません。お手数ですが各種入門書やWebサイト等をご覧のうえ、ご参照いただけましたら幸いです。
 「Role&Roll Station」では『エクリプス・フェイズ』体験会が開催されています。参加費用は無料、SF初心者の方もゲーム初心者の方も、イチから丁寧にレクチャーいたしますので、ぜひご参加ください。

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