文:朱鷺田祐介 協力:『エクリプス・フェイズ』翻訳チーム
岡和田晃
「Role & Roll」(アークライト/新紀元社)は、会話型ロールプレイングゲーム(TRPG)やボードゲームの記事を中心に扱ったアナログゲーム(電源を使わないゲーム)の月刊情報誌です。
毎号さまざまなタイトルが紹介&サポートされていますが、今回紹介する「Role & Roll」Vol.98には『エクリプス・フェイズ』の「エントリー・ミッション」第3回『カリスト・クライシス』が掲載されています。
「エントリー・ミッション」とは、『エクリプス・フェイズ』世界の入門、あるいはゲーム・ファンへ向けてのSF入門を目指して、有名なSF小説やSF映画を題材に取った、すぐに遊べる『エクリプス・フェイズ』の短篇シナリオを掲載していくというものです。
また、特別付録として、ルールブックやサプリメント(追加設定資料集)から、サンプル・キャラクターを抜粋して翻訳・紹介しています。
今回のシナリオにインスピレーションを与えたSF作品は『アイアン・スカイ』。ご存知の方もおられるでしょうが、ええ、月からナチスがUFOで攻めこんでくるというカルトSF映画でございます。そして『エクリプス・フェイズ』世界で、ナチス・ドイツのような全体主義国家、あるいは旧共産圏の各国を彷彿させる世界と言ったら――そう、今回(2012年12月20日)更新された小説「蝿の娘」とも密接な関係がある、木星共和国のお出ましです。
木星共和国――通称「ジョヴィアン・フンタ」――は一種の軍閥であり、ジョージ・オーウェルの『1984年』を思わせる徹底した管理社会としても悪名を轟かせています。もとは南北アメリカ各国によるコロニーだったものの、“大破壊”後の混乱を経て、アメリカ合衆国の主導のもと、現在の政治体制へ移行しました。彼らは生体(バイオ)保守主義という独特の思想を標榜し、トランスヒューマンを徹底して排除した一種の原理主義を貫いています。知性化種や情報体(インフォモーフ)は、人間とすらみなされません。
今回のシナリオ「カリスト・クライシス」は、木星共和国の衛星カリストに位置している戒厳令下の自由交易都市に潜入するというもので、絶えずテロリズムの危機にさらされる、緊迫感あふれる冒険が堪能できます。
また、今回は『エクリプス・フェイズ』基本ルールブックから、サンプル・キャラクターの「木星共和国のスパイ」を紹介しています。遺伝子調整や肉体改造を施していない「フラット」という多大なハンディキャップを抱えながら、多角的な技能と豊富な装備で活躍可能な、味わい深いキャラクターだと言えるでしょう。
この『カリスト・クライシス』は、「Role & Roll Vol.92」の「特集:『エクリプス・フェイズ』体験版 ヘリオンズ・エッグ」の体験版ルールを使用していますので、ゲーム・プレイには「Role & Roll Vol.92」が必要です。あらかじめご了承ください。追加データはVol.93、94、95に掲載されています。併せてご参照いただけましたら、幸いです。追加キャラクター「アルティメットの傭兵」(Vol.97)、「火星のレンジャー」(Vol.98)を使用することもできます。
「SF Prologue Wave」の小説を読んだら、ぜひ、実際に『エクリプス・フェイズ』世界に飛び込んでみましょう。きっと、あなたのクリエイティヴィティは、さらに刺激されること請け合いです。
※本シナリオにおいては、ロールプレイングゲームそのものの基本的な考え方については説明がなされていません。お手数ですが各種入門書やWebサイト等をご覧のうえ、ご参照いただけましたら幸いです。
いきなり入門書を読むのは大変という方は、アナログゲーム専門店「Role & Roll Station」で『エクリプス・フェイズ』体験会が開催されております。まったくの初心者の方でも丁寧に対応いたしますので、参加をご検討ください。参加費は無料です。