「ゴースト・オブ・ユートピア」樺山三英

「ゴースト・オブ・ユートピア」ハヤカワSFシリーズ Jコレクション

樺山三英(著)
早川書房
ISBN:978-4-15-209306-6
刊行日:2012/06/22
1,785円

あらすじ:
ディストピアSFの古典がいかにして誕生したかを著者オーウェルの生涯をたどることで探る「一九八四年」、
あの奇想天外な風刺小説を異色の会話劇として再構築した「ガリヴァー旅行記」、
激動の20世紀陰謀史をQ&A形式で解体する「すばらしい新世界」ほか、
古今東西の文学作品10篇をモチーフに、21世紀という時代に本質を追究する試み。

『一九八四年』に始まり、『ガリヴァー旅行記』を経由して、『華氏四五一度』へ――
〈ぼく〉でもある〈きみ〉は21世紀のユートピアを追い求める
伊藤計劃、円城塔と同年デビューの異才が、Jコレクション初登場
(早川書房ホームページより)

樺山三英コメント:
足かけ三年、SFマガジンで続けてきた連作です。
紆余曲折ありましたが、なんとか単行本にまとまりました。
長い旅路を経てきたような、そんな感慨に浸っております。
古今東西の作品を変奏し、ユートピアの根源に触れようとする試み――
自分としても大きすぎる課題でしたが、なんとかこなせたかと思います。
現時点の自分にとって、ベストな作品であることはたしかです。
どうぞよろしくお願いします。

余談ですが、この連作を始めた当初はまだ、
ソルジニーツィンもバラードも、ブラッドベリも存命中でした。
とくに本書刊行の直前、ブラッドベリ氏の訃報に接したことは大きなショックでした。
20世紀を彩った巨匠たちが次々と退場していくなか、われわれに成しうる仕事は何か?
考え始めると、なかなか空恐ろしい問題ですが。
《いま・ここ》で、やれることからやっていこうと思っています。

なお、SFマガジン8月号(2012年)に、樺山と岡和田晃氏との対談が載っております。
各話について、かなり踏み入った話もしていますので、
興味のあるかたはぜひお読みいただければと。よろしくお願いいたします。

樺山三英プロフィール


樺山三英既刊
『ゴースト・オブ・ユートピア』