『エクリプス・フェイズ ソースブック サンワード』内容紹介!

『エクリプス・フェイズ ソースブック サンワード』内容紹介!

 岡和田晃

 2021年6月30日頃に、『エクリプス・フェイズ ソースブック サンワード』(著:ラース・ブルーメンシュタイン、ロブ・ボイルほか、監訳:朱鷺田祐介、訳:岡和田晃、待兼音二郎、見田航介、新紀元社)が発売予定です。「サンワード」とは、『エクリプス・フェイズ』における太陽から地球までの間、すなわち「内惑星圏」を意味します。

*写真は英語版です。

 『エクリプス・フェイズ』の基本ルールブックにも、「内惑星圏」の情報は存在しますが、『サンワード』ではそれが集中的に掘り下げられています。
 「Role&Roll」Vol.92から、5月26日頃に刊行されるVol.200まで、『エクリプス・フェイズ』のサポート記事は持続的に掲載されており、それは本「SF Prologue Wave」上で、都度、紹介してまいりました。こうしたサポート記事においては、『サンワード』を発売とする未訳サプリメント(追加設定資料集)の情報を抄訳してお届けしてまいりましたが、ようやく、全訳という形でお披露目ができることになったというわけです。
 『エクリプス・フェイズ』のシナリオをデザインするには、『サンワード』の設定を熟読することが、いちばんの近道です。
 それだけではありません。追加のゲームデータやサンプル・キャラクターも充実しており、まさしく『エクリプス・フェイズ コンパニオン』というべき内容が、『サンワード』なのです。
 原著者の筆頭クレジットはラース・ブルーメンシュタイン。『エクリプス・フェイズ』とも共通点が多いRPG『シャドウラン』第4版の『ストリート・マジック』、『アーセナル』、『アンワイアード』といったサプリメントのライターでもあります。

 それでは、『サンワード』各章の内容をかいつまんで紹介していきましょう。

■融解

 『エクリプス・フェイズ』のメイン・デザイナーであるロブ・ボイルと、映画監督でもあるデイヴィッドソン・コールによる巻頭小説です。
 金星の地表で働くクォーツ・モーフの労働者と、金星の空中都市(エアロスタット)の外交官同士の外交戦が対比的に描かれます。
 格差社会の実情あり、アクションあり、陰謀劇あり……と贅沢な一作ですが、複数の人格や「性」が存在することに対する、人称や文体の処理についてもお愉しみいただけるでしょう。
 
■内惑星圏を探検せよ

 『サンワード』は単なる情報の羅列ではなく、複数の視点からなる「物語」としても読めるように書かれており、そうした枠組みについての解説です。

■太陽-水星

 コロナとフレアに覆われた太陽近辺、そして水星軌道内にある小惑星帯であるヴァルカノイドや、各種ハビタットの詳しい解説が載っています。

■金星

 金星の歴史と、政体であるモーニングスター・コンステレーション、金星の経済システム、政治上の各種ハビタット(ゲルラッハ、オクタヴィア等)についての詳しい解説があります。

■地球

 ティターンズによって壊滅させられた地球がいかなるディストピアになってしまっているかの報告と、地球を取り巻くウイルスや、地球降下についての詳しい情報があります。

■地球軌道

 主に惑星連合と地球との関係、ラグランジュ・ポイントや地球奪還派についての詳細な情報があります。

■月

 “{大破壊/ザ・フォール}”後に月がたどった運命、独特のパラノイア、地方分権を旨とした統治形態、ニュームンバイからシャクル、セレネ・ステーション等の情報がります。

■火星

 火星の先住者であるバルスームの運動、政体であるタルシス・リーグ、火星のテラフォーミングや宇宙(軌道)エレベーター、オリンポスやヴァレス新上海のハビタット、危険なティタンーンズ検疫ゾーンまで。

■内惑星周縁部(インナー・フリンジ)

 内惑星圏の小惑星群、火星トロヤ群、遠隔地のハビタットや艦船の情報がまとめられています。

■惑星連合

 惑星連合の経済学、監督局、惑星議会、内閣、闇の権力者、オリガルヒ(寡頭制支配者)にまで至る情報がまとめられています。

■ゲーム情報

 環境災害(太陽コロナで受けるダメージ等や、極低温、低気圧などの状態)、新しい装備(マーシャン・アルピナー義体などの追加義体、新規のインプラント等)、ゲームマスターのみが知っておくべき秘密の情報や注釈

■サンプル・キャラクター

 ダイレクト・アクション社の傭兵、地球の生存者、火星のレンジャーからソラリアンの研究者(宇宙クジラ)までの12体の新しいサンプル・キャラクターが、すぐに使える状態で完備されています。

 『エクリプス・フェイズ』の基本ルールブックは日本語で100万字を超えるボリュームを誇りましたが、ソースブックである『サンワード』も、基本ルールブックの半分ほどの大ボリュームであり、シンプルに読んで楽しく、資料として創作の種を無限に引き出すことができ、ゲーム・セッションに置いても欠くべからざる内容です。
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