「日本SF作家クラブFANBOX開設に寄せて」縞田理理

 SF作家クラブでFANBOXをやりませんかという話をうかがったたとき、まず最初に出てきた感想は、わー、面白そう! でした。SFとファンタジーのクリエイター集団のFANBOX、端的に言えばweb上の雑誌ですよね。
 これは日本SF作家クラブにとっても、pixivFANBOXさんにとっても新しい試みです。
 変わっていく時代に新しいことを始める。それは、わたしたちの遠い祖先が野火から一本の燃えさしを拾って洞窟に持ち帰ったことにちょっと似ているかもしれません。もし先祖の誰も野火を拾わなかったら、私たちはまだ洞窟で生肉を齧っていたかもしれない。でも、ご先祖様はゆらゆらと炎をあげる枝を拾ったのです。その明るい熱と光を恐れずに。
 だから、わたしたちも電子の松明を掲げてネットの海へ乗り出しましょう。
 世界を分断する新型ウイルス禍の時代。 SF作家クラブFANBOXが人々が集うための澪標(みおつくし)、航路を照らす小さな灯台になれたらいいなと思っています。それとも、美味しいバーチャルコーヒーの飲めるバーチャルSFカフェのような場所。SF好きの方にも、ファンタジー好きの方にも、SFファンタジーが初めての方にも、気軽に立ちよって貰える場所になったらいいな、と。
 これから、この箱にはいろいろなものが詰められていきます。いろいろな作家のいろいろな作品。SF。ファンタジー。イラスト。インタビューやエッセイやコラム。作家の日常や、作品のちょっとした裏話なんかもいいですよね。 日本SF作家クラブFANBOXはチョコレートのアソートボックスのような、ワクワクの詰め合わせのようなものです。お好きなのをどうぞ!