
書名: 『異境の水都 突変世界』
著者: 森岡 浩之
出版社: 徳間書店
ISBN-10: 4198941807
ISBN-13: 978-4198941802
発売日: 2016/12/2
本作は『突変』と世界を同一にするが、続編ではない。
時系列的には、『突変』の前になる。
したがって、『突変』の未読は、『異境の水都』のストーリーを理解する妨げとはならないはずだ。作者としてはむしろ、今作のほうを先に読んでいただきたいほどである。
もともと、この世界を思いついたとき、並行していろいろなストーリーが浮かんだ。
美しくもグロテスクな怪物と戦う秘境探検ものとか、散弾銃を抱えたサラリーマンが天下人を目指す話とか、秘密の使命を帯びて都市を巡業する少女演劇団の話とか。
ただでさえ遅筆なのに、そんなキャパシティが自分にあるのか大いに疑問である。
《星界》も書かにゃならんし、ほかにもいくつか書きたいものがあるのだ。
しかし、ある夜、奇跡が起こって筆が速くなるかもしれないし、人工知能による執筆支援システムが開発されるかもしれない。
なにより、VRへの人格アップロードが実現されるまで生きて、永遠にちょいと欠ける程度の老後を過ごす予定なので、わたしはけっこう楽観的だ。もっとも、VRにわたしの読者がいるかは不明だが、自己満足の暇つぶしにはなる。
『異境の水都』は3部作の第1作である。
仮に付けたタイトルを列挙すると、以下のようになる。
第1部『星空の彼方の真実』
第2部『笛吹きどもの大地』
第3部『永遠の死す刹那』
うむ。
もういい歳なのだから、ネーミングセンスにもうちょっと渋みとか深みがほしいものである。
『異境の水都』はタイトルが変更されたが、『星空の彼方の真実』として構想されたものと内容が変わらない。有り体に言えば、いまのタイトルは原稿が上がってから決めたものである。
第2部、第3部もどうせタイトルは変更されるだろうが、たぶん、内容は初期構想に沿ったものになると思う。
その前に第1部が売れてくれなきゃ、出せるかどうか怪しくなるので、買って下さい。
ちなみに第2部は第1部の20数年後が舞台になり、登場人物も大幅に変わるはずである。
第3部は第2部のさらに100年後ぐらいの話になるはずだ。
この3部作を「宇宙にとって知性はどんな意味があるのか」というテーマに描いていきたい。
大賞までいただいた『突変』は、この3部作には含まれない。
しかし、第2部の前日譚と言えば言えないこともない。
『突変』に出てきたお子様が若者に成長し、主要登場人物を務める予定なのである。
まあ、『突変』は3部作の外伝、もしくはスピンオフといったところとなる。たまたま本編より先に出てしまっただけで。
『突変』をお読みの方も、お読みでない方も、手にとっていただければ幸いです。
森岡浩之既刊
『異境の水都
突変世界』