「『エクリプス・フェイズ』シリーズ、関連製品(英語版)の紹介(その4)」岡和田晃

 『エクリプス・フェイズ』は日本語版ルールブックの発売が予定されており、アナログゲーム専門情報書籍「Role&Roll」でサポート記事が連載されており、これらの情報は、「SF Prologue Wave」でも「Eclipse Phase情報」という枠でご紹介してきました。
 今回の記事では、英語版で展開されている『エクリプス・フェイズ』シリーズについて、簡単に紹介していきます。「SF Prologue Wave」での『エクリプス・フェイズ』小説を読むためにも、こうした製品についての情報は知っておいて損はないでしょう。
 いずれも2016年2月現在では未訳ですが、電子版をDrive Thru RPG等のオンラインストアで入手することができます。
 この第4回では、基本ルールブックを補完するサプリメント(追加設定資料集)2製品を説明していきます。第1回~3回で紹介してきたハードカバー製品とは異なり、いずれも15~20ページ程度の短いソースブック。使い勝手がよいのに安価なのも魅力です。オンデマンド販売によるソフトカバー版、PDF版、両方での入手が可能となっていますが、電子版を入手してプリントアウトするのが手っ取り早いでしょう。

●『NPCファイル01:プライム』
 NPC File 01:Prime

 2010年発売。『エクリプス・フェイズ』世界に登場するノンプレイヤー・キャラクター(NPC)、33体のデータが収められているデータ集で、何はともあれ、ゲームマスター必携。収録されたNPCは、ファイアウォールのエージェントから不死のオリガルヒ、木星共和国の兵士にスカムのディーラー、スマート・アニマルの調教師まで、よりどりみどり。ゲームセッション中にアドリブでNPCを登場させる際、大変に重宝します。各NPCには、『エクリプス・フェイズ』社会での役割、義体や装備、インプラントのデータなどが完備されています。その特徴をうまく表現する決め台詞もしっかり書かれているので、ロールプレイの参考にもなります。「ヴァリアント」としてカスタマイズ案が添えられたキャラクターも少なくないので、ネタ切れの心配もありません。

●『わが赴くは星の群れ』
 The Stars Our Destination

 2011年発売。印象的なタイトルは、アルフレッド・ベスター作のワイドスクリーン・バロック『虎よ、虎よ!』の原題から引用されているものと思われます。気になるその内容は……ずばり、スカムの艦隊についての詳細な情報。とりわけ調査船やスカム・バージ、サルベージ船など、宇宙船の追加データが充実しており、宇宙旅行を題材にしたシナリオをデザインするならば必須でしょう。実際、「Role&Roll」誌に掲載された『エクリプス・フェイズ』シナリオのなかにも、宇宙船のデータを『わが赴くは星の群れ』から引いてきた作品があります。艦隊に搭乗しているNPCのデータも掲載されていますので、『スター・トレック』のような冒険を遊ぶ際にも有用でしょう。

岡和田晃プロフィール