† 黒十字サナトリウム(電子書籍リーダー版: Kindle, 楽天Kobo, 紀伊国屋Kinoppyほか)
† 中里友香
† 2015年12月14日刊行
† 972円(税込)
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……甘美な幸福とはこのことだったのか。
肉体と精神とを仲立ちしている知覚がちぎれて、放たれていく刹那の残像と余韻――その先にある淵のふかみだ。
黒十字サナトリウムの患者は、誰しも自分を吸血鬼だと思いこんでいる。
「救いの神がいるのか私は知らない。私は天国に居ないのだから。地獄にも落ちていないから、裁きの神がいるのかもわからない。でも神の法からは逃れられない。私が吸血鬼として甦っているのだから」
春の夜明けにむかって説き明かされていく療養所の秘密とは――。
第9回日本SF新人賞受賞作、絶版となっていたゴシック幻想奇譚が今よみがえる。
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紙媒体で絶版となっていた『黒十字サナトリウム』がアマゾン・キンドルで登場です。
徳間書店からではなく、クリーク・アンド・リバー社の電子書籍に特化した部門から販売となります。
クリーク・アンド・リバー社が声をかけてくださり、徳間書店に快諾をもらって、キンドル化が叶いました。
笠井あゆみ先生の当時の装画を活かしたままデザインをリニューアル。
色味も、より原画に近い形で再現。
笠井あゆみ先生が、私の物語を読みこんで細かいところまで描ききってくださった華やかな絵に、文字通りの黒十字をあしらって、ゴシックテイストの強いSF小説であることが以前より良く伝わってくる装画になりました。
『SF Japan 2008 SPRING』に掲載された《逆十字入門(黒十字サナトリウムに同時収録されている番外編)》で、笠井あゆみ先生に描いていただいた扉絵+挿絵2点も、今回同時収録が実現しました。
日本SF新人賞授賞式の数分前に『SF Japan 2008 SPRING』を渡され、扉絵をぱっと開いたとき、嬉しさと緊張と興奮のあまり正視できずに一旦閉じ、もう一度、今度はラブレターを隠れて見るみたいに、こっそり開いたのを思い出します。
どぎまぎと覗きこむようにして、次第にじっくり眺めながら、作家になれた醍醐味を噛みしめたものでした。
雑誌掲載時にはタイトルや煽り文句が入っていましたが、このたび笠井あゆみ先生に再度、当時の原画を送ってもらい、クリアな状態で見られるようにして収録しました。
ハードカバー『黒十字サナトリウム』中古本は、法外な値がついて出回っていたりと、手を出すのを躊躇していた方も多かったかと思います。Kindleは本というよりコンテンツという扱いに近く、お求めやすい価格設定になっていますので、是非どうぞ。
中里友香既刊
『黒十字サナトリウム Kindle版』