「『エクリプス・フェイズ』シリーズ、関連製品(英語版)の紹介(その2)」岡和田晃

 『エクリプス・フェイズ』は日本語版ルールブックの発売が予定されており、アナログゲーム専門情報書籍「Role&Roll」でサポート記事が連載されています。これらの情報は、「SF Prologue Wave」でも「Eclipse Phase情報」という枠でご紹介してきました。
 今回の記事では、英語版で展開されている『エクリプス・フェイズ』シリーズについて、簡単に紹介していきます。「SF Prologue Wave」での『エクリプス・フェイズ』小説を読むためにも、こうした製品についての情報は役に立つことでしょう。
 いずれも2015年11月末日現在では未訳ですが、書籍版をネット書店(Amazon.co.jpなど)や輸入ゲームを扱っているショップ(神保町の書泉グランデ等)で、電子版をDrive Thru RPG等のオンラインストアで入手することができます。
 なお電子版ではルールブック等の小説やサンプル・キャラクターが別売りされていたり、HACK PACKという高解像度の画像データが封入されているヴァージョンもゲットしたりすることができます。
 紹介第2弾では、基本ルールブックを補完するサプリメント(追加設定資料集)3製品を説明していきます。

●『ゲートクラッシング』
 Gatecrashing

 『エクリプス・フェイズ』ではパンドラ・ゲートというワームホールの設定が重要になっていますが、このパンドラ・ゲートを設定とゲームデータの双方から、本格的に扱ったのが本書です。パンドラ・ゲートの本質とは何でしょうか、そして、ゲートを抜けた向こうには何が待っているのでしょうか。冒険の舞台は、太陽系外にまで広がっていきます。センティネルたちは、まったく未知の遭遇を体験することになるでしょう。
 なお、本書は2011年のエニー賞に4部門(!)でノミネートされています。実は『エクリプス・フェイズ』シリーズ、各種ゲーム賞の常連なのです。第1回で紹介した基本ルールブックは、2010年のオリジンズ賞の「ベスト・ロールプレイングゲーム」部門を受賞し、2010年の「ベスト・ライティング」としてゴールド・エニー賞、および「ベスト・カバーアート」と「年間ベスト製品」でのシルバー・エニー賞を受けています。同じく前回紹介した『サンワード』は、2011年のオリジンズ賞「ベスト・RPGサプリメント」部門にノミネートされました。

●『パノプティコン』
 Panopticon

 哲学者ミシェル・フーコーが『監獄の誕生』で”互いが互いを監視し、かつ、誰が誰を監視しているのかがわからない”現代社会の比喩として論じた、全展望型の監視装置を「パノプティコン」と言います。そこからタイトルを採っているとおぼしき本書は、『エクリプス・フェイズ』で表現される未来社会のユビキタスな監視技術、宇宙の人工居住区たるハビタットの仕組み、そして知性化動物の詳しい解説が掲載されています。あっと驚く斬新な装備もたくさん。なお、本書は2012年のエニー賞「ベスト・ライティング」部門にノミネートされました。

●『リムワード』
 Rimward: The Outer System

 内惑星圏を紹介した『サンワード』と対になるサプリメント。小説INTO THE WHITE、木星共和国、木星トロヤ群、土星、タイタン、ウラヌス、ネプチューン、さらには……と、外惑星圏の詳細な背景設定、追加の義体や装備のデータが収められています。自治主義者同盟、すなわちスカムやエクトロピアンといったアナーキストたちの実態も詳細に解説されています。比較的安定した設定の『サンワード』と比べると、個性が際立った舞台がそろっています。太陽系の冒険を味わい尽すために、ぜひ外惑星圏での冒険にチャレンジしてみてください。2013年のオリジンズ賞の「ベストRPGサプリメント」部門、および2013年のエニー賞「ベスト製品」部門ノミネート作品。

岡和田晃プロフィール