『「世界内戦」とわずかな希望――伊藤計劃・SF・現代文学』岡和田晃

80年代生まれ、博覧強記を地で行く若き論客の初の批評集!!

『「世界内戦」とわずかな希望――伊藤計劃・SF・現代文学』

 社会現象を起こした天才・伊藤計劃の「死」へ、最も早く、最も鋭敏に応答した批評を発表し、第5回日本SF評論賞優秀賞を受賞した岡和田晃。その受賞から2013年までの間に発表された批評を「伊藤計劃、SF、世界文学」の3つの柱でまとめた、80年代生まれ、博覧強記を地で行く若き論客の初の批評集!!
 SFと文学の枠を取り払い、ミステリやゲームの視点を自在に用いながら、大胆にして緻密にテクストを掘り下げる。愉楽に満ちた輻輳(ふくそう)する言葉が、あなたの知性に挑戦する!!
 ぎっしり濃密な320頁です。(公式サイトより)

書誌データ

書籍名:『「世界内戦」とわずかな希望―伊藤計劃・SF・現代文学』
著者:岡和田晃
発行:アトリエサード
発売:書苑新社
発売日:2013年11月8日
判型/ページ数:四六判/320ページ
価格:2,800円+税
ISBNコード:ISBN:978-4-88375-161-7
Webサイト:『「世界内戦」とわずかな希望―伊藤計劃・SF・現代文学』|発行・アトリエサード 発売・書苑新社

目次

■第1部 「伊藤計劃以後」の現代SF――伊藤計劃、仁木稔、樺山三英、八杉将司、宮内悠介

書評『虐殺器官』
「世界内戦」とわずかな希望――伊藤計劃『虐殺器官』へ向き合うために
受賞の言葉
二十一世紀の実存
書評『フィニイ128のひみつ』/『ヴコドラク』/『マザーズ・タワー』
リセットの利かないゲーム」――『ハーモニー』×『マーダーゲーム』
作家ガイド「樺山三英」
樺山三英×岡和田晃 存在論的な歴史と認識論的な歴史――『ジャン=ジャックの自意識の場合』を読む
樺山三英×岡和田晃 歴史と自我の狭間で――『ゴースト・オブ・ユートピア』とSFの源流
作家ガイド「仁木稔」
書評『グアルディア』/『ミカイールの階梯』
「世界内戦」下の英雄――仁木稔『ミカイールの階梯』の戦略
「サイバーパンク」への返歌、現代SFの新たな出発点――Harmony by Project Itoh
『危険なヴィジョン』2・0――伊藤計劃『The Indifference Engine』解説
書評『屍者の帝国』
新たな時代の「世界文学」――『屍者の帝国』の射程
「伊藤計劃以後」と「継承」の問題――宮内悠介『ヨハネスブルグの天使たち』を中心に
「クレオール化しそこねた世界」に希望はあるか――宮内悠介「北東京の子供たち」
作家ガイド「八杉将司」
八杉将司インタビュウ
意識が消滅した者との共生は可能か――八杉将司『光を忘れた星で』を読む
「伊藤計劃以後」と加速化する陰謀論――仁木稔「ミーチャ・ベリャーエフの子狐たち」「はじまりと終わりの世界樹」

■第2部 スペキュレイティヴ・フィクションの可能性

書評『X電車で行こう』
増田まもるインタビュウ――日本で最も危険な〝耽美と残虐の〟翻訳家
書評『都市のドラマトゥルギー』
藤枝静男とスペキュレイティヴ・フィクション
書評『昇天する箱舟の伝説』/『RONIN』/『終わりなき索敵』
柴野拓美のメソドロジー――「『集団理性』の提唱」再読
スチームパンクと双方向性(インタラクティヴィティ)――奥泉光『新・地底旅行』
「引用」という構築、重層化する旅路――『君の館で惨劇を』×『少年探偵とドルイッドの密室』
「わたし」を動かす「マグマ」――笙野頼子『渋谷色浅川』
書評『猫ダンジョン荒神』/『妻の帝国』
「想像力」の脱政治化に抗して――三・一一後の「空白の120ヘクタール」『水晶内制度』『妻の帝国』
「棄民」とは、「想定外」の産物なのか?――米田綱路『脱ニッポン記 反照する精神のトポス』を読む
「痛み」を忘れず、信頼に足る情報を――『北海道電力〈泊原発〉の問題は何か』を読む
書評『連続する問題』

■第3部 世界文学のニューウェーヴ

言葉が紡いだ「死」の舞踊――佐藤亜紀『ミノタウロス』解説
神話的人物の生きる「場所」――『双頭のバビロン』×『ウィトゲンシュタインのウィーン』
「思想」と「エロス」を分かつもの――歴史の表層と『醜聞の作法』
『ヘルデンプラッツ』と神的暴力
表象の迷宮――エステルハージ・ペーテル『黄金のブダペスト』
虚構の果ての旅路――『ハーン=ハーン伯爵夫人のまなざし――ドナウを下って――』
「血の復讐」は我らが隣に――ウィリアム・ピーター・ブラッディ『ディミター』
「死」を描くゲームブック――ミロラド・パヴィッチ『帝都最後の恋』
書評『南無ロックンロール二十一部経』
オブセッションと島嶼的イメージ――J・G・バラード『楽園への疾走』の系譜学
すべてを語り、何も語らずにいること――『人生の奇跡 J・G・バラード自伝』
書評『abさんご』
救済なき救済の相――《新しい太陽の書》小論
我らの内なる怪物――ピーター・ディキンスン『生ける屍』解説
書評『爪と目』
生政治と破滅――トマス・M・ディッシュ「リスの檻」および『キャンプ・コンセントレーション』再考

あとがき

 本書で取り上げられている作家・著者リスト(主な登場順)/伊藤計劃/アンドレイ・タルコフスキー/ノヴァーリス/ウィリアム・ギブスン/小松左京/カール・シュミット/フリードリヒ・シュレーゲル/笠井潔/巽孝之/ブライアン・オールディス/リチャー ド・ローティ/ジョルジョ・アガンベン/小松左京/グレッグ・イーガン/千澤のり子/松本寛大/紺野あきちか/岡田剛/吉田親司/仁木稔/J・R・R・ トールキン/L・スプレイグ・ディ=キャンプ/田中隆一/廣瀬陽子/ジョゼフ・キャンベル/カルパナ・サーへニー/P・W・シンガー/ピーター・P・パーラ/樺山三英/ダルコ・スーヴィン/八杉将司/宮内悠介/ブルース・スターリング/ジュノ・ディアス/宇野邦一/白戸圭一/飛浩隆/池田雄一/山野浩一/増田まもる/吉見俊哉/藤枝静男/N・キャサリン・ヘイルズ/矢野徹/フランク・ミラー/谷甲州/柴野拓美/奥泉光/ネイダー・エルヘフナウ/ゲイリー・ウェストファール/ハリイ・ハリスン/獅子宮敏彦/麻生荘太郎/笙野頼子/佐藤哲也/米田綱路/鳩沢佐美夫/山城むつみ/佐藤亜紀/ミハイル・ブルガーコフ/イサーク・バーベリ/カール・ケレーニイ/皆川博子/エーリッヒ・ フォン・シュトロハイム/スティーヴン・トゥールミン&アラン・S・ジャニク/ドゥニ・ディドロ/ロバート・ダーントン/関谷一彦/トーマス・ベルンハルト/トーマス・マン/ヴァルター・ベンヤミン/エステルハージ・ペーテル/ウィリアム・ピーター・ブラッディ/ミロラド・パヴィッチ/古川日出男/J・ G・バラード/アラン・ロブ=グリエ/黒田夏子/ジーン・ウルフ/トマス・ナッシュ/エルンスト・H・カントローヴィチ/ピーター・ディキンスン/藤野可織/トマス・M・ディッシュ/V・E・フランクル/フョードル・ドストエフスキー/ほか

SF乱学講座の講師に岡和田晃が登場します

2013年12月1日(日)18:15~20:15
講座タイトル/「伊藤計劃以後」のSFと現代文学 ※課題図書に本書が指定されています
会場/高井戸地域区民センター
参加費/1,000円
詳細はSF乱学講座Webサイトまで
※SF乱学講座とは、前身であるSFファン科学勉強会から数えて半世紀近い歴史を持つ市民講座。誰でも参加することができます。

岡和田晃プロフィール


岡和田晃既刊
『「世界内戦」とわずかな希望
――伊藤計劃・SF・現代文学』