(PDFバージョン:nazetoudenn_matiitosio)
増税法案は衆議院を通過してしまった。
間違いなく数年後には消費税は10%になるということだ。最悪だ。
わたしは小沢一郎は大嫌いだが増税法案に反対していると言うことだけは評価する。最悪の政権、民主党の公約がぐちゃぐちゃになっているということもあるが、こんな百害あって一理もない増税を通す必要はないから。
多くの学者やシンクタンク、それに政治家自身が国会で縷々述べているように消費税を1%あげても財政収入はせいぜい二兆円増える程度なのだ。つまり現在の5パーから倍の10にあげても増える税収はわずかに10兆円。
それにひきかえ財政赤字、すなわち積み上がった赤字国債の累計は国と地方を会わせて1000兆円。消費税は500%上げなければ借金は返せない。つまり1000円の本を買うのに、6000円の消費税付きにしてようやく国の採算が成り立つ計算。プリウスを買うなら1500万円だよ。
つまり今の収支では消費税の増税による増収は焼け石に水どころか、全く無意味。かえってトヨタとか日本の大企業はますます税金の安い海外へ雇用シフトを計るだけ。逆に国内のデフレはさらに加速し、商業は冷え込み、消費税収入も逆に減ります。
ばっかばかしい。なんのために増税するんだろう。
ところが絶対に総理は言わないだろうけれど現代日本政府にはとても差し迫った支出が控えている。
原発被害者への救済支出だ。表向きは東電が払う形をとるけれどあれはもう実質国有化された有名無実の形骸企業だ。つまり原発の被害は国が税金で補償しなければならない。それもすぐさま。
いくら?
被害算定はすでにでている。とりあえず十兆円。
書くのもいやになるくらい、ばかばかしいが納得。
政府はどうしても消費増税の十兆円が必要なのだ。それもすぐに。
一口に十兆というが我が国の総税収は年四十兆しかない。税収の四分の一が原発被害補償に回ったら政府は生きていられない。本来東電が破産なりなんなりして返すべきお金なんだから。なぜ東電をつぶさずに政府が迂回融資して補償をしなきゃならない。
政府はそれを言わない。
意味不明に財政危機をあおってただ消費税法案を通した。初めに用途ありき。理屈を後からつけた。それも国民に黙って。
いいかげんにしろ。
国家財政が危機に瀕しているのはみんな知っている。しかしそれを口実に、東電への融資を作るなんて話が違う。どんなに東電と政治家が癒着しているか知らないが、こんな工作をすればするだけ日本国民は追い詰められていく。
今からでも遅くないから消費税増税は撤回すべきだ。幸いにも増税前には『付則』がついていてどうしてもやらねばならないということはない。
そして東電はつぶすべきだ。資産を売り払って国民への補償を尽くすべきだ。税金による立て替えは、その後で十分だ。
町井登志夫既刊
『爆撃聖徳太子』