【小松左京氏追悼エッセイ】「継ぐのはどなたか?」北原尚彦

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 わたしがSFファンダムに顔を出すようになったのは物書きになってからなので、結構遅い。だからホンモノの星新一さんや光瀬龍さんの姿を拝見することはなかった。
 小松左京さんは、拝見するどころか御挨拶させて頂くことができた。実は、小松左京さんは日本古典SF研究会創設時に「名誉会長」になって頂き(と言ってもわたしが入会する以前の話だ)、ずっとそのまま続けて頂いていた。それゆえ、わたしが古典研の新会長に就任した後に、どこかのパーティで御挨拶させて頂いたのだ。それ以降は、恐れ多くてこちらから話しかけることはできなかったので、おそらくわたしの名前は覚えて頂いていなかったとは思うが。
 さて問題は、ぽっかりと空席になってしまった日本古典SF研究会名誉会長の座へ、どなたに着いて頂くかということだ。小松さんの後釜。……誰もが辞退しそうだ。
 そうだ、小松さんの「唯一の公認弟子」であることを自慢しているSF作家がいるはずだから、その方にやってもらおう。弟子なのだから、跡を継ぐのを嫌とは言わないだろう。さっそく連絡しよう。えー、もしもし、横田順彌さんですか? 古典研の名誉会長が空席になってしまった件ですが……。

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