
町 二・〇
Miсто 2.0
イーゴリ・アントニュク
Iгор Антонюк
訳:大野典宏
町は二万年待った。
――『町』、レイ・ブラッドベリ(小笠原豊樹訳、早川書房。文庫「刺青の男」に収録)
空に光が現れたとき、少年はすでに目を覚ましていた。
一瞬、それらは夜の闇を切り裂いた。轟音を立てて、眠る街を駆け抜けた。それらは七月四日の花火のように閃き、砂丘の向こうへと消えていった。その後は、何も起こらなかったかのように静寂が訪れた。そして朝になる頃には父親が戻ってきた。
「お父さん!」。少年は駆け寄って彼を抱きしめた。
男は力なく椅子に崩れ落ち、木製の背もたれにもたれかかった。彼の顔はたるんでいた。灰色の肌は、新しいろうそくの燃えている部分であるかのように、剥がれ落ちようとしているように見えた。くぼんだ胸がゆっくりと上下していた。視線は壁に釘付けだった。彼は赤のチェック柄のシャツと色あせたジーンズを身につけていた。焦げた金属の匂いがして、その嗄れた息からは焦げたゴムの香りが漂っていた。その時、少年は初めてあの奇妙な音を耳にした。
カチャッ、カチャッ、カチャッ、カチャッ。
「昨夜、戻ってきたの? お父さん? 本当に?」
男は答えなかった。視線をそらそうともしなかった。目の前の壁を観察しているかのようだった――ただの無機質なコンクリートではなく、まるで星座でも見えているかのように。そして、ゆっくりと男は少年の方へ顔を向けて言った。
「ああ。俺だ」
「レウ!」。台所から母親の声がした。「起きてる?」彼女は動きを止め、目を大きく見開いた。息子を見つめ、それから夫を見つめた。
「レウ、台所に来て。今すぐ」。彼が近づくと、彼女はしゃがみ込んだ。彼女は口を開く前に、しばらく彼を見つめた。
「レイモンド、あなたはいい子よね?」
「うん、お母さん」と答えた。
「だから、もし私がお願いしたら……誰にも言わないって約束してくれる? わかったわね?」。彼女は彼の手首を掴み、指に力を込めた。「お父さんが戻ってきたこと、誰にも言わないで」
「エイナーおじさんにも?」と少年は尋ねた。
「彼にも言っちゃダメ。これは誓ってちょうだい」。手首を握る指に力を込め、声は震えていた。「わかった? わかった!?」
「うん、お母さん」と、泣きそうな声で答えた。「わかった」
午後になると、軍が到着した。
彼らは三台の装甲車でやってきた。エンジンの轟音に、近所の住人たちはカーテンを開けて外を覗いた。ドアがきしむように開き、茶色のブーツがアスファルトの上におりた。険しい顔つきだった。感情の欠片もない。黒いサングラスの向こうの目は、まったく見えなかった。
一人がドアを軽くノックし、返事を待たずに中へ入った。
「こんにちは」と、背の高い白髪の男がリビングに足を踏み入れながら言った。彼は軍服ではなく、私服だった。後には二人の若い将校が立っていた。
「彼を連れに来たんだ。彼らは知っている……」。女性の心臓は激しく鼓動した。彼女は平静を装おうとした。爪が手のひらに食い込んだ。
「もちろん、どうぞお入りください」。彼女は無理やり平静を装って言った。「コーヒーはいかがですか? 淹れたばかりです。今淹れたんですから」。すると年配の警官が手を挙げて彼女の言葉を遮った。
「スミスさん」と切り出した。
「ノラと呼んでください」と彼女は訂正した。
「ノラ」と彼は乾いた笑みを浮かべて繰り返した。「私たちが誰で、なぜ来たのか、もうおわかりでしょう」
「ええ、たぶん」と、かろうじてそう言った。頬を涙が一筋伝った。彼女は素早くそれを拭い、息を荒げた。「夫に何かあったの?」
「わかりません」と彼は静かだが威厳のある声で言った。「ご主人の探査隊は成功しました。帰路についていたところです」
「何か見つけたの?」
「もしかすると。ただ、それについてはお答えできません。機密事項ですから、スミス、いやノラ。帰路の途中、船が流星群に巻き込まれたようです」
「ようです?」と彼女は尋ねた。
「ロシア人の仕業でない限りは。船が地球の大気圏に突入した際、乗組員との連絡が途絶えました」
「つまり、昨夜空に見えたあの光は、あれは……」
「そうです」。男は彼女の言葉を遮り、何かを探し求めるように部屋の中を見回した。「あれは船の残骸でした。ご存知の通り、乗組員は九名でした。そのうち七名が発見されています」
「亡くなったのですか?」と率直に尋ねた。
「二人の行方は不明です」。男は質問を無視して続けた。「船長と、あなたの夫であるスミス氏です。彼については……おそらく」
「まさか……」。彼女は再びすすり泣いた。涙が頬を伝った。「墜落した後、夫がドアをくぐって『やあ、ノラ!』って言って戻ってくるなんて、あり得ないでしょう?」
「お母さん! お母さん!」台所から声がした。すぐに少年が駆けつけ、彼女をぎゅっと抱きしめた。
「でもお父さんは戻ってくるよね?」。少年が男を見上げて尋ねた。
「ええ」。母親はささやき、少年の頭頂部にキスした。おそらくその時、少年はまたあの静かな音を耳にしたのだ。
カチャッ、カチャッ、カチャッ、カチャッ。
「お父さんはヒーローだよね?」
「君はお父さんを誇りに思うべきだよ」と男は言った。「さようなら、スミスさん……ノラ……さようなら、レウ……」
「でも、どうして僕の名前を知ってるんですか?」。男は答えず、後手でドアを閉めた。エンジンの轟音が響き、遠ざかっていった。
「あの人は全部知っているのよ」と、震えながら囁いた。「全部!」
彼らが去ると、少年は地下室へ駆け下りた。女は無力なまま、壁に崩れ落ちた。
「お父さん! お父さん、来たよ! でも僕は……」
父親は背を向けて立ち、頭を上に向けていた。その手には、かすかに光る鈍い金属の缶が握られていた。それは顔に押し当てられていた。シャツの下は痙攣していた。地下室には、湿った泡立つような音が響き渡った。自動車用グリスの臭いが少年の鼻を刺した。
カチャッ、カチャッ、カチャッ、カチャッ。
男は体を震わせ、ゆっくりと缶を顔から離した。黒い液体が数滴、床に飛び散った。もう片方の手で顔を拭うと、彼は振り返った。
薄暗い中、少年は父親の口元から黒く油っぽい液体がにじみ出ているのを見た。それは首筋を伝い、シャツに染み込んでいった。
「お父さん、あいつらが……でも僕は……」
「わかってる」。その声は電気音のようにブーンと響いた。「二階へ行くんだ。すぐ……行くから」。二度と言わせる必要はなかった。
少年はドアを少し開けたまま、階段を駆け上がった。
突然、父の頭が捻じれて、胸の上に垂れ下がった。口は痙攣するように開き、目玉が裏返った。船のエアロックが開くような金属的なきしむ音とともに、胸が裂け開いた。血の代わりに、黒い油が噴き出した。金色の針が飛んできて、かつては父だった「それ」に、針は正確に命中した。
「レウ。お父さんが。来るわよ!」。背後から母親が言った。彼女の手には同じ針が握られていた。
熱い液体が少年の足から噴き出し、階段を浸した。少年は叫ぶことさえできなかった。
■初出:短編小説アンソロジー『100 Shades of Darkness』(Motor Snail Publishing)
■著者紹介
イーゴリ・アントニュクは、ウクライナのイヴァーノ=フランキーウシク出身の作家、歴史家、講師。ウクライナの雑誌にホラーや超常現象を題材にした短編小説を発表し、デビュー作は短編集『松のささやき』(2018年)。最新作『誰もがコインを投げる』(ジョルジ出版、2024年)は、運命的な偶然と不可解な出来事を描いた話を集めた作品集である。
